【FP解説】20代で入った方がいい3つの保険と加入の判断ポイント

「20代で保険に加入した方がいい?」
若いうちに病気になるという実感もなく、老後もまだまだ先の話だからと、保険に加入する必要があるのかと悩まれる方も多いのではないでしょうか。
しかし、FPである私は20代であっても保険に入るべきと考えます。
20代は、
・医療保険
・死亡保険
・変額保険や外貨建て保険
のいずれかの保険に加入をお勧めします。
なぜなら理由は3つ。
・安い保険料で一生同じ保障をもつことができる
・健康なうちでないと保険に加入できない
・万が一病気やけがをした場合貯蓄ではカバーできない
また、種類によっては毎月の保険料に利率がついて運用されるため、積立も可能となります。
ただし、就職や結婚などとライフイベントが変わる20代は、それぞれ状況は様々で、適している保険種類は違ってきます。ご自身に合った保険を見つけて加入しましょう。
この記事では、なぜ20代で保険に入ることをおすすめするのか、そして保険の種類別に適している人の特徴、20代の保険の選び方を、詳しく解説します。
是非、最後まで読んでみてください。
20代で保険に入るべき4つの理由
一般的に必要な生命保険は、病気やけがの保障、死亡の保障、将来の貯蓄に対して加入するものです。では、なぜ20代のうちに生命保険に加入したほうがよいのでしょうか。
30代で入った場合との比較でみていきましょう。
30代で加入するよりも20代では約3割保険料が安い
生命保険は年齢で保険料が決まりますので、どの保険も若ければ若いほど保険料は安いです。生命保険とは、万が一があった場合にお金に困らないように経済的保障を持つということです。
いずれ加入するのであれば、同じ保障で安い保険料がよいと私は考えます。
では、保険料がどれくらい変わるのでしょうか?
例えば、500万円の終身保険を25歳で加入した場合は8,820円のものが、35歳で加入すると13,065円になり、同じ保障でも4,245円も保険料が高くなります。
条件:死亡保険金額500万円 60歳払い | ||||
|
保険料 |
総支払保険料 |
||
25歳 |
¥8,820 |
¥3,704,400 |
||
35歳 |
¥13,065 |
¥3,919,500 |
||
差額 |
(¥4,245) |
(¥215,100) |
30代になると病気になるリスクが約2割増える
入院や病気になるリスクが低い20代ですが、30代になると
・健康診断で引っかかる項目が出始める
・女性であれば、婦人科系の疾患で通院する
・出産で異常分娩で入院・手術する
などが増えてきます。
健康診断で再検査の項目があったりBMIの数値が規定から外れているだけでも、「加入できない」もしくは「条件付きの加入(保険料の割増や部位不担保※など)」になる可能性が高いです。
ですから、まだ健康だからと後回しにせず、健康な20代のうちに加入しておきましょう。
万が一病気やけがをした場合に貯蓄では足りない
20代は就職したばかりで貯蓄がなかったり、収入も安定してない方も多いです。そんな時に万が一病気や怪我をした場合、その治療費は貯蓄だけでは足りるでしょうか?
治療費がかかるだけではありません。お金がなく入院を断念したり病気を治すことができず、会社を辞めざるをえなくなったり収入が減ることも考えられます。。
まず、病気やケガで入院や手術をした時の治療費は、基本的にかかった費用の3割が自己負担です。また、治療費が高額になった場合は「高額療養費制度」といった、自己負担額を下げる社会保障制度があります。
例えば、20代の平均的な年収である年収300万円~500万円の方であれば、月額の自己負担額は約7万円~9万円となります。
さらに、全額治療費を自己負担しなければならない「先進医療」というものが存在します。
先進医療の種類によっては数百万円もかかるものもあります。この金額をカバーできないのであれば、保障が必要です。
突然の事故や病気に備えて、必要最低限でも保障を持っておきましょう。
保険で積み立てて増やしていくことも可能(預貯金より効率的)
保険は保障だけではなく、積立もできます。
預貯金以外で積み立てを始めようと考えたときに、NISAやiDeCoが思い浮かぶかと思います。
しかし、投資信託等で運用するのは、資産が減ってしまう可能性もあるから怖い、そもそもわからないし難しいといった人や、銀行の積立などではすぐ取り崩してしまってお金がなかなか貯まらないという人方には、保険で積立がおすすめです。
保険は、加入時に将来受け取れる金額が確定している商品もあり安定的で、また、利率がついて運用されるため預貯金でためるより効率的に積立が可能です。
また、お葬式代など万が一の保障が必要と思ったときには保障もついていて、更に、20代なので安い保険料で持つことができるので、20代で加入するのがおすすめです。
ただし、一般的な保険は「日本の低金利」の影響を受けますので、お金を増やす効果が少なくなってしまっているのです。 そのような低金利の中でも運用効果が期待できるのが、「外貨建て保険」と「変額保険」で積立していくことをお勧めします。 |
以上の4つの理由から、私は生命保険にはなるべく早く加入することをお勧めします。
では、自分がどういった保険に加入したいいのかがわからない方は、パターン別に加入すべき保険を紹介していきます。
あなたに適している保険はどれ? ~保険種類別に解説~
生命保険はただ入ればいいというわけではありません。
それぞれライフプランが違ってくるので、自身の状況で入る保険は変わってきます。
一般的に、生命保険に入る目的は下記の3つになります。まずは、ご自身やご家族がどんな保障が必要かを考えましょう。
①医療費の保障(主に入院時や治療費の保障)
⇒ 医療保険
②老後や教育資金など長期的な貯蓄
⇒ 変額保険や外貨建て保険
③生活費の保障(家族がいる場合、家計を支えている)
⇒ 収入保障保険
基本的に20代は、①、②に加入しておくとよいです。家族がいる場合は③も加えて加入しましょう。
・独身の方は…①+②
・夫婦(お子様なし)の方は…①+②
・夫婦(お子様あり)の方は…①+②+③
保険種類ごとの詳しい選び方
①医療保険
医療保険の保障内容を考えるときのポイントは4つあります。
ポイント1.終身型を選ぶ
ポイント2.入院給付金日額を決める
→ 5,000円~10,000円がオススメ
ポイント3.入院日数は何日型にするか
→ 60日型がオススメ
ポイント4.先進医療特約を付加
ポイント1.医療保険は終身型で加入しましょう
医療保険は必ず終身型で加入しましょう。終身型は、加入時から一生涯保険料は変わりません。
医療保険は他に、保険期間の決まっている定期型というものもあります。定期型は更新(※)のタイミングで保険料が上がります。せっかく安い保険料で加入したのに、将来、保険料が上がるのはもったいないですよね。
※更新とは |
ポイント2.入院給付金日額は最低でも5,000円。10,000円あれば安心
入院給付金日額は、少なくとも5千円、高くても1万円あれば安心です。
治療費は「高額療養費制度」を利用すれば1か月の自己負担額は約7万円~9万円です。(収入により違いがあります)
つまり、1日3000円程ということですね。
しかし、入院したときにかかる費用は治療費だけではありません。
「公益財団法人生命保険文化センター」の調査によれば、入院時の1日あたりの自己負担費用は平均で2万3千円というデータがあります。(下図参照)
【入院時の1日あたりの自己負担費用】
この費用の内訳は、治療費だけでなく食事代・差額ベッド代・交通費や日用品などが含まれています。
このデータからわかるのは、入院をすると治療費よりもそれ以外の雑費にお金がかかるということです。
特に、これらの費用は入院が長期化すると負担はどんどん大きくなります。
もちろん、入院は短期化傾向にありますが、本当に困るところに掛けるのが保険です。
別の目的で貯めていた貯蓄を切り崩すことにならないよう、医療保険で備えるのが望ましいです。
保険で入院に備える!自分に合った保障の選び方をFPが徹底解説!
ポイント3.入院日数は60日型で充分
医療保険の入院日数は60日もあれば十分です。
最近では、医療技術が進歩し長期の入院を必要としなくなったり、入院日数が短いほど病院の利益になるような制度になっているため、入院日数はどんどん短くなっています。
入院日数とは 入院給付金日額は無制限で支払われるわけではなく、1回の入院の支払い限度日数が決められており、それを入院日数と言います。 |
ポイント4.先進医療特約は必ず付加しよう
先進医療特約は必ず付加しましょう。
なぜなら、全額治療費を自己負担しなければならない「先進医療(※)」というものが存在するからです。先進医療の種類によっては300万円以上かかる治療もあります。
以下、先進医療の例です。
先進医療技術 |
技術料(1件当たり平均額) |
高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術 |
307,342円 |
陽子線治療 |
2,716,016円 |
重粒子線治療 |
3,133,672円 |
多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術 |
656,419円 |
歯周外科治療におけるバイオ・リジェネレーション法 |
59,830円 |
MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法 |
107,601円 |
参考:公益財団法人生命保険文化センター|先進医療とは? どれくらい費用がかかる?
この先進医療だけを保障する「先進医療保険」となるものは発売されておらず、民間の保険会社が販売している医療保険に特約(オプション)という形で加入するしかありません。
中には、「先進医療を受ける可能性は低いので保険に入る必要がない」と考える方がいるかもしれません。
しかし、保険は発生確率が高いか低いかで加入を考えるものではなく、確率が低くても起こってしまったときに経済的損失があるのであれば加入しておくものです。
※先進医療とは 2020年2月1日現在、先進医療は87種類となっています。先進医療の種類・内容は以下を参照ください。 |
②変額保険や外貨建て
現在のような、低金利時代に貯蓄目的で終身保険や個人年金保険に加入する場合は、「外貨建て保険」や「変額保険」をオススメします。
一般的な円建の保険は、契約したときの金利の状況で利回りの良し悪しがきまります。現在は低金利の影響で、円建ての保険は利回りが低く貯蓄としての魅力がありません。
金利の高い外貨建保険か、投資信託等で運用する変額保険を選択するべきでしょう。この2種類の保険商品については以下の記事に詳しく記載していますので、是非お読みください。
初心者は保険で投資もお勧め!仕組みから有利な税制まで徹底解説
外貨建て保険とは 変額保険とは |
予定利率とは |
③収入保障保険
経済的に扶養している家族がいる方は、収入保障保険の加入を検討してください。
なぜなら、死亡保険は遺族の生活保障を目的に加入するものだからです。あなたが亡くなって今まで稼いでいたお給料が入ってこなくなった時のことを想像してみてください。経済的に困る人がいる方は死亡保険が必要ということです。
独身の方でもご両親や兄弟に仕送りをしている方は、もし自分が亡くなって両親や兄弟が経済的に困るのであれば死亡保険に入ることをオススメします。
女性の方でも、夫婦共働きでご自身のお給料が入ってこないとご主人やお子様が生活できないという方は死亡保険が必要です。
そして、実際に加入する際は、死亡保険はお給料をベースに必要保障額と保障期間を算出し、ご自身にあった死亡保障に加入しましょう。
必要保障額とは |
万一の事がなければ、毎月のお給料で生活をやりくりするので、基本はお給料をべースに考えます。
計算式は以下の通りです。
①月額給料 - 遺族年金 - 住宅ローンの金額 - お小遣い
= 毎月の必要保障額
②毎月の必要保障額 × 12か月 × 必要年数
= トータルの必要保障額
以下の記事でもっと詳しく説明していますので参考にしてみてください。
収入保障保険とは?愛する家族を守る為に!仕組みと保証額を徹底解説
保険は見直しが大切~信頼できるアドバイザーを味方につける~
生命保険は、一度入って終わりではなく見直しをすることが大切です。そして、その見直しには信頼できるアドバイザーに相談することが重要です。
保険は見直しが大切
一般に保険を見直すタイミングとしては、結婚・出産・住宅購入などのライフイベント時と言われています。20代で保険に入れば、これらのライフイベントが待ち構えていますよね。
しかし、それ以外にも見直すべき場面はあります。
例えば、医療保険制度の改正です。医療保険は制度が変われば、それに合わせた新商品や新しいオプションが発売されます。
今から15年、20年前の医療保険は「20日以上入院すると給付金が下りる」「入院5日目から保険金が下りる」」という内容の医療保険が主流でした。
現在は、入院日数も短期化しており入院1日目から給付金がおりるものが主流ですよね。
つまり20代で加入した医療保険は、40代・50代になる頃には時代にあっていない可能性があります。
しかし、自分で制度について勉強したり、「自分の保険は今の時代に適しているのか」「もっとより良い保険が新しく発売していないか」といった情報収集することは難しいです。
保険の見直し時には信頼できるアドバイザーに相談を
結婚・出産・住宅購入といった一般的に保険を見直すべきタイミングと言われている場面だけでなく、新商品の情報なども随時手に入れるために、信頼できるアドバイザーを味方につけることをオススメします。
保険販売資格のある独立系ファイナンシャルプランナーであれば、複数社の生命保険会社からライフプランを考慮し最適な商品のアドバイスをしてくれるだけでなく、販売資格があるため、新商品の情報もいち早く入ってきます。
相談前に知って欲しい!良いファイナンシャルプランナーの見つけ方
そもそも保険とはなんのために入るのか?
保険とは、もしものことがあったときにお金に困らない【経済的リスク】に備えるために加入するものです。
ですから、この経済的リスクに対して貯蓄など保険以外の方法でカバーできる場合は加入する必要はありません。
しかし、経済的リスクに対してカバーできるほどの貯蓄等がない場合は、年齢に関わらずその備えをしなければなりません。
つまり、経済的リスクに備えるという点において、年齢は関係ありません。
20代のあなたは今現在、何かあった際に、経済的リスクに備えられますか?
まとめ
いかがでしたか?
保険に加入するかどうかは、確率が高いか低いかで考えるのではなく「起こったときに経済的に困るかどうか」で考えましょう。
そして、保険に入らないという選択をした方は今ある貯蓄の価値を減らさないように(インフレに負けないように)することが大切です。
「今の自分にあった保険が知りたい」「保険の選び方がわからない」という方は、4章でお伝えした独立系FPに相談することをオススメしますが、敷居が高いと感じる方には独立系FPが主催する「保険セミナー」や「マネーセミナー」に参加することから始めても良いでしょう。