【文例つき】遺言書の基本とよくあるパターンを解説!失敗しない書き方とポイントも紹介
遺言書を書いてみようと思うのだけれど、どうやって書けばいいかわからない。参考になる文例ないかなぁ。
いきなり遺言書をひとりで書こうとすると大変です。遺言書を自分で書く場合、ルールやポイントが細かくあります。文例を参考にしながら書いてみてくださいね。
この記事ではよくある事例をもとに、そのまま利用できる文例や、自筆証書遺言書を作成するときの注意点をご紹介いたします。
ご自身で遺言書を書こうとされているかたはもちろん、親から相談されているかたなどにとってもお役に立てる内容となっておりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
この記事で分かること!
- 自筆証書遺言書の”基本”の文例
- よくある3パターンの文例
- 自筆証書遺言書作成時の注意点
遺言書の「基本」の文例を見てみよう
自筆証書遺言書は遺言者が自筆で書く遺言書です。自分で書くので”自由”に書けると思っている方もいらっしゃいますが、『書き方のルール』がきちんと存在します。
後ほど解説しますが、これを守らないと無効になったり、希望の相続にならない可能性があります 。
この章では、専門家(司法書士)が作った遺言書の”基本”の文例を用意すると共に、ポイントもご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
遺言の種類は基本的には2種類
遺言の種類としては、一般的に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。「自筆証書遺言」は費用をかけずに自宅で手軽に作成が可能です。一方、「公正証書遺言」は費用も手間もかかりますが、紛失や隠ぺいなどのリスクが低い遺言書です。
自筆証書遺言書の前提条件
遺言書の遺言者と相続人の関係は以下です。
遺言者:夫(36歳)
相続人:妻(35歳)、長女(4歳)、長男(1歳・障がいあり)
- 遺言者(夫)の長男に障がいがある
- 長男には預貯金(3口座分)と国債・株式・投資信託を相続させる
- 妻には自宅(土地・建物)と残りの財産すべてを相続させる
- 長女には何も残せないが、妻が死去してしまった場合はその他の財産を長女に相続させる
- 長女に悲しい思いをさせないためにも、付言(ふげん)を残す
※付言とは相続人に伝えたい言葉のことです
【解説付】自筆証書遺言書の文例
(監修:福岡ひかり司法書士法人)
自筆証書遺言書の詳しい書き方や作成に必要なものについては以下の記事を参考ください。
遺言書でよくある3パターンの文例
ここでは、よくあるパターンの自筆証書遺言書の文例を3つ見ていきましょう。
妻(夫)に全ての財産を相続させたい(子供がいない場合)
子供がいない夫婦の場合、妻に全ての財産を相続させたいのであれば遺言書を書いておく必要があります。
遺言書を書かずに夫が亡くなると妻に全財産が相続されません。夫の親や兄弟と財産を分けあう事となります。特に、相続財産として現金が少なく、大半がご自宅などの”不動産”の場合、大問題となってしまいます。
以下の文例を参考に、遺言書を書いてみてください。
この時のポイント
- 子供がいない夫婦の場合、配偶者のために遺言書を書いておきましょう
- 兄弟姉妹には遺留分※がありませんが、親などの直系尊属には遺留分がありますので注意が必要です
妻(夫)に全ての財産を相続させたい(子供がいる場合)
子供がいる夫婦の場合でも妻に全ての財産を相続させたいのであれば遺言書を書いておきましょう。
子供には遺留分がありますので場合によっては争いになることも考えられます。子供の遺留分を考慮した分割内容としたり、子供たちに向けたメッセージとして想いを込めた付言を書いておくことも大切です。
この時のポイント
- 子供には遺留分がありますので、注意しましょう
- 家族や子供に対する想いを込めた付言を書くことをおすすめします
子供の相続分に差がある場合(すでに配偶者がいない場合)
複数の子供がいる場合で、子供の相続分に差をつけたいのであれば遺言書を書いておきましょう。
例えば、同居する長男に法定相続分よりも多く相続させることも可能です。
ただし、他の子供には遺留分があります。子供の遺留分を考慮した分割内容としたり、子供たちに向けたメッセージとして、想いを込めた付言を書いておくことが大切です。
この時のポイント
- 子供達にはそれぞれ遺留分がありますので、注意しましょう
- 家族や子供に対する想いを込めた付言を書くことをおすすめします
遺言書を書くときに注意すべきポイント
遺言書を書いたとしても、いざ相続が発生したときに役に立たなかったり、逆に遺言書が原因でトラブルが起きてしまっては意味がありません。
注意すべきポイントについて確認しておきましょう。
遺言が“無効”とならないように注意しよう
自筆証書遺言書において、
- ルール通り書かれていない【形式の問題】
- 内容が不明確、法律上NGといった【内容の問題】
があると遺言または遺言の内容が認められないことがあります。以下で詳しく説明していきます。
①【形式の問題】遺言の決められた書き方が守られていない
自筆証書遺言書には決められた書き方があり、その通りに書かれていないものは遺言として認められません。
よくある事例
- 手書きでない箇所がある(※財産目録はパソコン等で書いても認められます)
- 日付、氏名、押印がない(または不明確)
- 財産目録のすべてのページに署名や押印がない
- 訂正の方法にミスがある
- 1つの遺言に2名以上の署名がある
②【内容の問題】遺言の内容や情報が明確でない
遺言の形式に問題がなくても、書かれた内容が明確でなければ、遺言者の意思が反映されず遺言として役に立たないことがあります。
よくある事例
- 財産の特定ができない
- 遺産分割の内容が分かりにくい
- 誰に何をどのくらい相続するのかが不明確
③【内容の問題】法律上、認められない内容を書いている
何を書いても法的に有効になるわけではありません。知らずに書いてしまうと遺言の効力の無い単なる手紙になってしまう可能性があります。
よくある事例
- 他の相続人の遺留分を侵害している場合(基本的に相続人には最低限の取り分が保障されている)
- 結婚、離婚に関する記載は遺言では無効
- 養子縁組に関する記載は遺言では無効
自筆証書遺言書が“無効”となってしまうケースについて詳しくは以下の記事をご覧ください。
遺言によって“トラブル”とならないように注意しよう
遺言書の内容によっては、かえってトラブルを引き起こしてしまう場合もあります。特に自筆証書遺言書では問題が起きやすいので、十分に注意しましょう。
①他の相続人から“遺留分侵害額請求”を起こされる
「財産は全て長男に相続させる」などといった遺言を書いた場合、相続自体は行われます。
しかし、他の相続人は何ももらえないことになるため“遺留分侵害額請求”を起こされ、現金で支払いをしなければならなくなってしまう可能性があります。
遺留分に配慮しない遺言は他の相続人の感情を逆なでし、トラブルとなりかねませんので注意しましょう。
“遺留分”についての詳しい内容は、次の関連記事をご覧ください。
②遺言があっても話し合いが必要となってしまうことがある
遺言書が”全財産”について書かれていない場合は、書かれていない財産について相続人全員で話し合いをして決めなければいけません。
せっかく遺言を書いても、結局は相続人どうしの話し合いが必要で、トラブルになってしまうこともあります。すべての財産について記載漏れがないようにしましょう。
③遺言が無効だとして裁判を起こされる
遺言の内容が不利な相続人から、次のような理由で裁判を起こされることがあります。トラブルになりそうな場合には注意しましょう。
【事例1】無理やり認知症の親に遺言を書かせたのではないか
自筆証書遺言書により相続人の一人が全財産を相続した際に、別の相続人から「当時の父親は認知症だったので遺言は無効だ」と裁判を起こされてしまうことがあります。
軽い認知機能の低下などが認められる場合は、医師の診断書など意思能力があったことを示す資料を取っておくとよいでしょう。
【事例2】偽造や改ざんをしたのではないか
だれでも簡単に作成できるため、遺言の内容によっては比較的簡単に偽造や改ざんができてしまいます。
ここからトラブルに発展することもあり、筆跡鑑定などを含め多額の裁判費用が掛かってしまうこともあります。
【事例3】遺産分割をしたあとに遺言書が出てきてトラブルに
遺産分割の内容を決めたのに後になって遺言書が見つかると、非常に手間となります。遺言を優先しなければならないからです。
特に遺言の内容に偏りがあった場合は、不利となってしまった相続人と他の相続人との間でトラブルになることがあります。
自筆証書遺言書は法務局に預けよう
2020年7月10日より、自分で書いた遺言書(自筆証書遺言書)を法務局が預かってくれるサービスが始まりましたので、積極的に活用しましょう。
自筆証書遺言書保管制度のメリット
- 遺言1件につき3900円で安全に保管してもらえる
- 遺言書の“形式的”な要件は確認してもらえる(法律的な不備によって無効となるリスクが減る)
- 相続人により遺言書の廃棄,隠匿,改ざんが行われるおそれが無くなる
- 自筆証書遺言書の“検認”が不要となり、相続した人の手間・費用が抑えられる
自筆証書遺言書保管制度についての詳しい内容は、次の記事を参考にしてみてください。
まとめ
遺言の財産目録の簡略化や、自筆証書遺言書を法務局で預かってくれる制度が始まったことでまずは自筆証書で遺言を書こうとする人も増えてきました。
ところが、いざ実際に遺言を書こうとしても具体的な書き方がわからなかったり、本当に大丈夫か不安になってしまうかたも多いようです。
シンプルな内容であればご自身だけで書いても大丈夫ですが、もし複雑な場合であったり少しでも不安があるのであれば、まずは専門家に相談してください。そして、安心して自分達にあった間違いのない遺言書を書いてみてください。
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