【FP解説】もう迷わない!終身保険の選び方の重要ポイント3点

【FP解説】もう迷わない!終身保険の選び方の重要ポイント3点
「今、一番有利な終身保険を選びたい」
「終身保険は必要そうだけど、保険料も高いし、種類もたくさんあって、どれが得なのかよくわからない?」
「一生涯の死亡保障は本当に必要か?」
「終身保険で貯蓄をするのはお得なの?」

真剣に、生命保険を検討していると必ず当たる疑問がこれです。

金利の高い時代には、仕組みの簡単な終身保険でメリットを得ることができたのですが、低金利時代となり従来の終身保険ではメリットが少なくなると同時に、それをカバーするべく、様々なタイプの新しい終身保険が増えてきました。

「ドル建ての終身保険」「変額終身保険」などは、言葉も難しく敬遠しがちですが、今こそ検討が必要となってきています。

一円でも得したいみなさんに、今の時代にマッチした終身保険の選び方のポイントをわかりやすく丁寧に解説します。きっと納得感をもって終身保険を選ぶことができると思います。

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目次

終身保険を選ぶときは加入目的を決めることが重要

終身保険を選ぶときは、加入目的をはっきりさせることが大切です。終身保険には、次の二つの機能があります。

  • 「一生涯の死亡保障」を確保する
  • 「長期的な貯蓄」をする

どちらの機能を重視するかで選ぶポイントや考え方が変わり、最終的に選ぶ終身保険も変わってきます。まずは、加入目的を考えていきましょう。

「一生涯の死亡保障」を確保する

人が亡くなったときにかかる費用はかなり高額となります。亡くなった後に、おかねの面で家族等に迷惑をかけたくないと考える人は、こちらを準備しておく必要があります。

終身保険に加入することで、一生涯の死亡保障が確保されるため、いつ亡くなっても残された家族にこれらの金銭面での負担をかけるという心配を無くすことができます。

具体的にかかるものとしては、葬儀費用が主の費用で、また、墓地等がない場合は墓地や墓石の費用も考えておく必要があります。

「長期的な貯蓄」をする

終身保険は、老後資金、教育資金、住宅購入資金などの「長期的の貯蓄」に向いています。条件次第では預貯金等で貯蓄するよりも利回りがよくなります。

終身保険は、短期で解約をしてしまうと、払った保険料に対して「元本割れ」になり損をしてしまいます。損をしないためには最低でも10年程度は期間が必要です。ですので、短期目的ではなく「長期的な貯蓄」に向いています。

目的別の終身保険の選び方

終身保険の加入目的は、「一生涯の死亡保障」「長期的な貯蓄」ですが、目的別に選び方のポイントを考えてきます。

「一生涯の死亡保障」を加入目的としたときのポイント

死亡保険金額の決め方

一生涯の死亡保障を目的とした場合は、死亡保険金額をいくらにするかということが、契約内容を決めるポイントとなります。保険金額は、死亡時に受取人が受け取ることができる死亡保険金額のことです。

一般的な金額としては、葬儀費用は全国平均で196万円(*1) 、また、墓地がない場合は、墓石の費用約160万円+墓地の費用がかかります。

以上を考慮すると、一般的に葬儀費用+αで死亡保障を目的とした場合の保険金額は300万円~500万円が目安となります。

(*1)日本消費者協会「第11回『葬儀についてのアンケート調査』報告書」/2017年

保険料と払込期間

終身保険は、死亡保険金額が同じでも払込期間によって支払う保険料が変わります。

毎月の保険料の少しでも安くしたい」と思っている人は、払込期間を長くすればよいです

「保険料の総額を抑えたい」と思っている人は、払込期間を短くすればよいです

終身保険の場合、保険の期間は一生涯(終身)となりますが、保険料の払込期間の選択が可能です。実際には、以下の選択が可能です。

  • 年数で指定 5年払・・保険料を5年間で払う(5年払、10年払、20年払など)
  • 年齢で指定 60歳払・・保険料を60歳まで払う(60歳払、65歳払など)
    終身払・・保険料を一生涯(終身)払う
  • 一括で払う 一時払・・保険料を一括で払う

以上のように、保険料の払込期間を長くすると保険料は安くなりますが、保険料の総額は多くなります。
逆に、保険料の払込期間を短くすると保険料は高くなりますが、保険料の総額は少なくなります。

金利(予定利率)が低い時に契約すると保険料が高くなる

死亡保障目的の場合は、同じ保険金額であれば、予定利率の低い時の契約よりも、高い時の契約の方が、保険料が安くなります

なるべく、予定利率の高い時期に契約をした方がよいのですが、いつ金利が上がるかわからないので実際に金利が上がるまで待つというのは現実的ではありません。

また、過去に予定利率の高い時期に契約した保険は、現在も保険料は安いままですので、長期で継続をしてなるべく中途解約をしない方が得です。(いわゆる お宝保険

予定利率の低い時期に契約する解決策の一つとして、例えば「ドル建ての終身保険」があります。円の金利よりもドルの金利の方が高い状態だと、予定利率の高い「ドル建て終身保険」等にした方が月々の保険料は安くなります。

予定利率について

保険料の安さや、保険の貯蓄性の良し悪しは契約時の予定利率で決まります。

保険会社は、保険料から諸費用を差し引いたお金を積立金として運用しており、運用で得られる利益を予定しています。この時に使用する利率を予定利率といいます。予定利率は加入時期によって決定します。

予定利率が高い時期に加入すると、低い時期に加入するよりも

「保険料が安くなる」「貯蓄率が良くなる」

というメリットがあります。

逆に、予定利率の低い時期に加入すると、高い時期に加入するよりも

「保険料が高くなる」「貯蓄率が悪くなる」

というデメリットがあり、デメリットを解消する必要があります。

「長期的な貯蓄」を加入目的としたときのポイント

解約返戻金がどのくらいか?

貯蓄を目的とした場合は、保険を解約したときに戻ってくるお金(解約返戻金)が、支払った保険料に対してどのくらいプラスになっているか?がポイントとなります。

終身保険が貯蓄として利用できるのは、契約を途中で解約したときにお金が戻ってくるからです。このお金を解約返戻金といいます。
終身保険に解約返戻金があるのは、保険会社が将来の保険金支払いに備えて、保険料から必要経費を差し引いた分を積み立てているからです。これが保険契約を解約した際の解約返戻金額の原資となります。

一般的に予定利率が固定されている商品の場合は、契約の時点で解約返戻金は確定しているため、安定的な貯蓄が可能となります。

いずれにしても、目標とする期間での

「解約したときにいくらお金が戻ってくるのか?」
「保険料をいくら払ったか?」

を比較してプラスになるかどうかを計算する必要があります。

保険料と払込期間

貯蓄目的の場合、保険料の払込期間を短くするとよいです。

保険料の払込期間は、一括で払う、「一時払」から、最長で「終身払」まで選択可能です

  • 保険料の払込期間を短くする = より少ない保険料を支払う = 貯蓄率は上がる
  • 保険料の払込期間を長くする = より多くの保険料を支払う = 貯蓄率は下がる

上記のように、払込期間を短くした方が、毎月の保険料は高くなりますが、総額で支払う保険料が少なくなり、貯蓄率は良くなります。

例えば、30歳で終身保険を契約した場合、60歳払や65歳払を選択することが一般的ですが、10年払、15年払の選択可能です。払込期間の短い10年払、15年払にした方が毎月の保険料は高くなりますが、総額で支払う保険料が少なくなり貯蓄率も高くなります。

貯蓄目的で、貯蓄率を上げたい場合は保険料の払込期間を短くすることを検討しましょう。

金利(予定利率)が高い時に契約した方がメリットが大きい

貯蓄目的の場合は、予定利率の高い時の契約の方が、保険料に対する解約返戻金の金額が多くなり、貯蓄率が良くなります

特に予定利率の低い時の契約は、低い予定利率がずっと適用され、貯蓄率が悪くなりとなってしまいます。

変額終身保険」、「利率変動型終身保険」にすれば、解約返戻金に関しては、低い予定利率で固定化することはなくなり、運用状況や金利状況次第では貯蓄率がアップする可能性があります。

いずれの目的の場合も、現在は予定利率が高い時期なのか?低い時期なのか?ということを知っておく必要があります。

インフレへの対応

インフレが起きた場合、終身保険は役に立たなくなってしまう可能性があります。

加入目的が、「死亡保障」でも「貯蓄」でも、目的とする期間が長期となるケースが多いと思います。その場合、もう一つ考えておきたいのが、「インフレが起きた時にどうするか」ということです。

30歳の女性が、葬儀費用目的で加入したケースを考えてみましょう。

80歳で亡くなると仮定すると50年後となります。現在300万円の葬儀費用は、50年後には、約810万円(毎年2%のインフレを想定)となります。現在のお葬式代の目安300万円で保険に加入しても、実際に50年後に亡くなった際の葬儀費用は支払えません。

インフレに対応させるには、最初からインフレを想定して約810万円の保険に加入するか、インフレに対応可能な「変額終身保険」や「利率変動型終身保険」の検討が必要となります。

インフレが起きても、将来に保険がしっかり機能するように契約時に配慮しておく必要があります。

終身保険の種類と特徴

(定額)終身保険

良くも悪くも安定、安心の(定額)終身保険です。いわゆる終身保険と言ったら一般的に(定額)終身保険のことを示します。

予定利率が契約時に固定されているため、保険料、死亡保険金、解約返戻金等は契約時に確定しているため安心で、わかりやすいです。予定利率の高い時期に加入すると、保険料も割安で、世の中が低金利な時期でも、保険契約は高金利が保障するためメリットがあります。

一方で予定利率の低い時期の加入は、保険料が割高となる他、貯蓄率も低くなることがデメリットです。世の中の金利が長期的に上がった場合も加入時の低い予定利率で固定されるため、他の金融商品(例えば預貯金)よりも長期的に利回りが悪くなる可能性があります。

安定、安心ですが予定利率の高い時期に契約したい保険です。

利率変動型終身保険

安定、安心の(定額)終身保険のデメリットをカバーしインフレに対応させた保険です。

予定利率が市場金利によって変動します。世の中の金利が高くなれば、途中で予定利率が上がる可能性があります。その場合は、死亡保険金や解約返戻金が増えていきます。

インフレになると、長期的な金利の上昇が見込めるので、その場合は予定利率が上がりインフレに対応できる可能性というメリットありますが、「インフレ=予定利率の上昇」ではありませんので注意が必要です。

一般的に保険金や解約返戻金は最低保証があるので、金利低下時でも保険金や解約返戻金が最低保証金額を下回るデメリットはありませんので、安定、安心です。

(定額)終身保険と同じように、低金利時は予定利率が低く設定されますので、高金利時に比べ保険料は割高になるというデメリットがあります。

変額終身保険

終身保険+投資信託のメリットを併せ持つインフレ対応できる終身保険です。

積立金を特別勘定(投資信託等)で運用し、保険金や解約返戻金が変動します。

保険料から諸費用を差し引いた積立金は通常は保険会社が運用していますが、この積立金を特別勘定(ファンド)という別の形で運用していきます。

特別勘定は保険会社が設定するのですが、投資信託の場合が多く、保険会社を経由して投資信託を購入するようなイメージとなります。

特別勘定は複数の投資信託等の中から自分で選択できるようになっており、リスク許容度や目的に合わせて分散投資していくのが一般的です。

特別勘定は自分で選択可能、良くも悪くも自己責任(投資リスクあり)

自分が選んだ特別勘定の運用成績がうまくいけば、死亡保険金や解約返戻金が増えていきます。

特別勘定の種類としては、「国内株式」「外国株式」「国内債券」「外国債券」などのカテゴリーがあり、各保険会社がそれぞれ投資信託等を選定して、その中から自分で選択することとなります。

積極的に運用したい場合は、株式投資信託等を中心に分散投資しハイリスクハイリターンの組み合わせに、安定的に運用したい場合は、債券投資信託を中心に分散投資しローリスクローリターンの組み合わせにします。

特別勘定を選択は重要で、自己責任ですのでしっかり検討することが大切です。

死亡保険金は最低保障がありノーリスクです。

変額終身保険は、特別勘定の運用成績により、死亡保険金、解約返戻金が変動しますが、死亡保険金に関しては、最低保障があります。

例えば、変額終身保険の死亡保険金を300万円で契約した場合、特別勘定の運用がうまくいけば死亡保険金は300万円より増えていきますが、うまくいかなくても死亡保険金には最低保障があり、300万円を下回ることがありません。

つまり、保険金に関してはノーリスクとなります。死亡保障目的であれば、投資リスクは限定されノーリスクで安定、安心の保険といえます。

インフレに対応可能です。

特別勘定の選び方次第では、インフレに対応できます。

インフレに強いの資産は、株式等です。特別勘定の中には株式等で運用する投資信託もあります。それらを選べば、実質的に株式等で運用することとなるので、インフレになり株価が上がれば、死亡保険金や解約返戻金が増えます。

ただしそれらを選ぶと、死亡保険金や解約返戻金の変動も大きくなりリスクも大きくなります

低金利時代には特に検討したい保険

変額終身保険は、(定額)終身保険よりも、予定利率は高めに設定されており、保険料も割安です。死亡保障目的の場合は、保険金額は最低保証されるためでデメリットはありません。投資リスクはありますが、終身保険のデメリットである低金利の固定化、インフレ対応に関して解決策となる保険といえます。

米ドル建て終身保険

(定額)終身保険よりも、予定利率が高く、保険料も安くなり、貯蓄率も高い保険。為替リスクあり。

保険契約の通貨が米ドル建てとなるため、予定利率が米国の金利で決まります
日本の金利よりも米国の金利の方が高い場合は、予定利率が高めに設定されるので、死亡保険金額に対する保険料が割安となるメリット、保険料に対する解約返戻金も多くなり貯蓄性が高くなるメリットがあります。
保険料が安ければ、インフレまで想定に入れながら死亡保険金や解約返戻金を設定できるので、インフレにもある程度対応できます。

ただし、通貨が米ドル建てとなるために、毎月の保険料や、死亡保険金、解約返戻金も米ドル建てとなり、為替レートの変動によりそれぞれ円建ての金額が変わってしまうという為替変動リスクというデメリットもあります。

こんな終身保険は要注意

終身移行保険

終身と書いてあるので終身保険と勘違いしますが、「終身保険に移行できる定期保険」です。定期保険ですから基本的には期間が決まっており、満期時に保険は終了してしまい、終身ではありません。保険の終了時には、終身保険に切り替えることができますが、この切り替えというのは、実際には新しく終身保険に加入することです。

安く死亡保障を確保するという意味では、一定のニーズは満たせますが、実質的に切り替え時に年齢が高くなってから終身保険に再加入することとなるため、その分保険料が高くなってしまいます。また、貯蓄性はありません。(掛け捨て)

定期付終身保険

「定期保険特約の付いた終身保険」です。定期保険特約部分と終身保険部分のバランスが大切で終身保険の部分が多ければ、実際には終身保険の機能として考えてよいのですが、大部分が定期保険特約のことが多く、これでは、実質的には定期保険になってしまいます。全部が終身保険と勘違いしてしまうケースがあります。

低解約型終身保険

保険料払込期間中の解約返戻金を通常よりも低めに設定してある(定額)終身保険です。

特徴は(定額)終身保険とほぼ同じですが、(定額)終身保険よりも保険料が若干低めに設定されており、その分貯蓄率(保険料払込期間後の解約返戻金)もアップするのがメリットです。ただし、保険料払込期間中に中途解約した場合の解約返戻金が低く設定されているので、途中で保険料の支払いが困難になるなど短期に解約をすると元本割れとなり損をします

低金利時代の終身保険の選び方(まとめ)

生命保険は、予定利率によって保険料、死亡保険金、解約返戻金が決まってきます。金利が高い時代は、仕組みの簡単な(定額)終身保険でメリットは十分とれたのですが、金利が低い時代は、メリットが出にくいので、変額保険やドル建て終身保険等の検討も必要となってきます。

また、金利動向や商品開発により、今後も次々と新しい商品が発売される可能性もありますので、常に新しい情報で判断していきたいものです。

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