相続と遺贈の違いとは?意味、遺言への書き方、注意点を分かりやすく解説

遺贈と相続の違い

遺言を書く上で『相続』と書くか『遺贈』と書くかで迷われていませんか?

この二つの違いは主に、遺産を受け取る人が法定相続人(※)かどうかで決まります

相続・・・法定相続人に遺産をのこすこと
遺贈・・・法定相続人以外に対して遺産をのこすこと

※法定相続人とは
法律で亡くなった人の遺産を相続する人のことを指します。配偶者や子どもなど、亡くなった人との関係性によって受け取る遺産の額が変わります。

遺言の書き方は、そのままですが、
相続の場合は「◯◯に~を相続する」
遺贈の場合は「◯◯に~を遺贈する」

となります。

言葉の使い方自体は簡単です。しかし、「相続」にするとどうなるのか?、「遺贈」するとどんなことが起こるのか、よく理解して選択しないと、あなたが(そして受け取る側が)希望とする遺贈・相続にならない可能性があります。

そのためこの記事では
・相続と遺贈の違い
・遺贈をするうえで考えておくべきポイント3つ
・相続や遺贈する際は遺留分には注意
・失敗しない遺言書の書き方
をご紹介します。

これを読めば間違いのない相続や遺贈が行えるようになるので、ぜひ最後まで読んでみてください。

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第一章 遺贈と相続の違い

遺贈と相続の違い

意味

遺言の書き方

相続

法定相続人が対象

文末は「◯◯に~を相続する」

遺贈

法定相続人以外が対象

文末は「◯◯に~を遺贈する」

1-1 相続とは法定相続人に遺産をのこす行為

相続は、法律で遺産を相続する権利をもつ法定相続人に遺産をのこすことを意味します。

財産を残す人(被相続人)と親族関係のある人と、そうでない人を区別するために、相続と遺贈の言葉の区別をしています。

その為、法定相続人に財産を残す場合は、遺言書の文末は「~を相続する」と書くのが一般的です。

<具体例>
法定相続人に財産をのこす場合は、『◯◯に相続する」と記載。

※注意
仮に、間違って、法定相続人に対して、「〜を遺贈する」と記載してしまうと、不動産の手続き等が複雑になりますので正しく記載しましょう。

1-2 遺贈とは法定相続人以外に遺産をのこす行為

遺贈は、寄付などの目的で法定相続人以外に遺産をのこすことを指します。

遺贈は法定相続人以外に遺産を譲ることを指し、自分が遺産を残したい団体や人を自由に選べます

遺贈を行う場合は、遺言書の文末は「~を遺贈する」と書くのが一般的です。

<具体例>
NPO法人等の団体に財産を残したい場合は、「●●法人に遺贈する」と遺言書に記載する。

◆生前贈与との違い◆

生前贈与 

遺産をのこす人が亡くなる前に遺産をもらえる。110万円以上をもらうと贈与税を払わなければならない。

遺贈

遺産をのこす人が亡くなった後にしか遺産をもらえない。相続税の対象になる。

第2章 遺贈を行う場合に事前に知っておくべき3つのこと

遺贈を行う場合に知っておくべきこと

遺贈を行う場合、”受取人は相続税と遺贈の手続きに手間がかかる”場合があります。ここでは、「遺贈を行う場合に、事前に知っておくべきこと」を3つご紹介します。

① 不動産を遺贈する場合、受取人は登記手続きにかなりの手間がかかる(他の法定相続人の協力が必要)

法定相続人ではない第三者に不動産を遺贈すると、それを受け取った人は不動産を登記するのにほかの法定相続人の協力が必要となります。これには手間がかかります。

というのも、受取人が不動産登記するためには、ほかの法定相続人全員の承認が必要であり、共同で登記申請する必要があるからです。そのため、ほかの法定相続人から協力が得られない場合は、登記ができなくなる可能性もあります。

そのため、誰かに遺贈の場合は、受取人が大きな手間をかけなければいけなくなることや、ほかの法定相続人の協力を得られるかを考慮する必要があります。

不動産を遺贈する場合は、遺言執行人をつけておくとスムーズに遺産相続ができます
遺言執行人については、下記の記事を参照ください。

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② マンションなどの借家・借地を遺贈する時は賃貸人の承諾が必要

マンションなど人に貸している住居や土地を遺贈された場合、そこに住む賃貸人の承諾を得ることが必要です。

もし承諾が得られない場合、その住居や土地の権利を獲得できない可能性があります。ですので、遺贈を受ける前に承諾が得られそうか、あらかじめ確認しておくことが大切です。

ちなみに「相続」の場合は、賃貸人の承諾がなくてもその住居や土地の権利が獲得できます。

③ 法定相続人以外に遺贈すると相続税が2割増しになる

遺贈で相続財産を受け取る場合は、相続税が2割増しとなります。

相続財産が相続財産の基礎控除額を超える場合は、税金がかかります。

相続税の基礎控除額は、
「3000万円 + 法定相続人の数 × 600万円」
で計算します。

*注意*
法定相続人が1人増えるごとに、基礎控除額は600万円増えますが、遺贈によって遺産を取得する人の数が増えても法定相続人の数は変らないので、遺贈は基礎控除額に影響しません

<具体例:法定相続人が2人いて『遺贈』を行う場合>
この場合の基礎控除額は、
3000万円 + 2 × 600 = 4200万円
つまり、相続財産が4200万円を超えた場合に相続税が発生します。この時の相続税は『相続』と比べると2割増しとなります。

<基礎控除を超えた金額に対する税率>

基礎控除を超えた金額に対する税率

※『遺贈』を行った場合、上記表の”税率”が2割増になります。

第三章 相続・遺贈どちらも遺留分には注意が必要

遺留分に注意

相続・遺贈どちらでも「遺留分減殺請求(※)」される可能性があるので、遺留分(※)には注意しましょう。

遺留分減殺請求とは
遺留分で決められている額を受け取れなかった人が、ほかの相続人から遺留分で決められている額を現金で請求できる権利のこと。

遺留分とは
財産を受け取る人が、法律上保障されている最低限の財産のこと。受け取れる割合は、遺産をのこす人との関係性によって異なる。

相続人の組み合わせそれぞれの遺留分
配偶者と子配偶者:1/4
子:1/4(複数いる場合は均等割)
子のみ子:1/2(複数いる場合は均等割)
配偶者のみ配偶者:1/2
配偶者と直系尊属(※)配偶者:1/3
直系尊属:1/6(複数いる場合は均等割)
直系尊属のみ直系尊属:1/3(複数いる場合は均等割)
兄弟姉妹のみ兄弟姉妹:なし

※直系尊属とは、父母・祖父母など自分より前の世代で、直通する系統の親族のこと。

<具体例:遺留分減殺請求が発生するケース>
父親と長男と次男の3人家族で、父親は長男に全財産4000万円を相続すると遺言に残した。次男はこの遺言に不満をもち、本来遺留分で決められている全財産のうち1/4の1000万円を遺留分減殺請求した。その結果長男は次男に現金で1000万円を譲らなければいけなくなった。

相続であっても遺贈でも遺留分減殺請求される可能性があり、相続人(受け取る側)は多くの現金を用意しなければいけなくなることもあります。遺留分については十分注意しましょう。

遺留分の割合や遺留分対策についてはこちらをご覧ください

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第4章 間違いのない遺言書を自分で作る際の重要なポイント

間違いのない遺言書を書く方法

自筆で遺言書を作成する場合、次のような流れで進めることをお勧めします。

①遺言書をルールに従って書く
②司法書士等のチェックを受ける(書式に誤りがあると無効になる可能性があるため)
③法務局の自筆証書遺言保管制度を利用する(紛失、改ざん・破棄を防ぐため)

4-1 遺言書の基本の書き方

遺言書には一般的に決められている書き方があります。このルールに従って書いてみてください。

・タイトルは「遺言書」とする。

・全文自筆で書く。(遺言、財産目録 ※一部パソコン等にて可能)

・法定相続人に相続させる場合は、「相続させる。」と書く。法定相続人以外に相続させる場合は「遺贈する。」と書く。

・正確な日付を記入する。

・自筆で署名・押印をする。なお、認印でも法的には問題ないが、トラブル防止のために実印で押印が良い。(印鑑登録証明書を取り寄せ、実印で間違いないか確認)

・自筆証書遺言を封入・封印し、保管する。

さらに詳しいルールについては以下の記事を参照ください。

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4-2 自筆証書遺言は司法書士にチェックしてもらう

遺言書が完成したら司法書士のチェックは必ず受けましょう

書き方にミスがある場合、法的な効力がなくなってしまい、せっかく書いても無駄になってしまう可能性があるからです。

自筆証書遺言の場合、司法書士のチェックは約3万円です。しかし、これを行うことで、法的に間違いのない完璧な遺言を残すことができます。

4-3 法務局の自筆証書遺言保管制度を利用

遺言のチェックが終わったら、法務局の自筆証書遺言保管制度を利用しましょう。

法務局に預けることで、紛失や改ざん、破棄等のリスクを防ぐことができます

遺言が完成したら、近くの法務局に問い合わせて保管をしておきましょう。(手数料は1件につき3,900円

法務局の自筆証書遺言保管制度についてはこちら

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まとめ

いかがでしたか?

相続と遺贈は財産を渡す対象が法定相続人かそれ以外かで分かれます。

相続の場合は間違いのない遺言をのこすことが一番大切ですが、遺贈の場合は遺言の書き方だけでなく相続税のことも考える必要があります。

税金や遺産の残し方について疑問がある場合は遺言を書く前に専門家に相談しましょう。

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