任意後見と法定後見の違いを一覧表で比較!任意後見を選ぶべき理由

任意後見と法定後見の違いを一覧表で比較!任意後見を選ぶべき理由

「任意後見」と「法定後見」

認知症になった場合などに役に立つ制度だと聞いたことがあるけど、いったいどんな制度で、どんなことに役に立つの?

このような疑問を持たれるかたも多くいらっしゃいます。

じつはこの2つの制度をまとめて「成年後見制度」といいます。ともに認知症や精神の障がい、また知的障がいなどで十分な判断能力をなくした人をサポートする国の制度です。また、財産の管理や介護施設への入所手続きをサポートするなど、おおまかな目的はもちろん同じです。

ところが、もともとは「法定後見」から始まったこの制度は困った人を助ける制度。しかし、実際には想定外の高額な費用がかかってしまったうえに、家族の想いが伝わらなくなってしまったりして

「こんなはずでは…」

と後悔してしまうケースがあります。

例えば、
・外部の専門家に支払う費用が思っていた以上にかかって生活が苦しくなった。
・親のために、親のお金を使おうとしたが、外部の専門家に認められなかった。

この「法定後見」の成年後見人になる専門家は裁判所が指定することになります。(費用も発生します)
その専門家と意見や感覚が合うかどうかは、ある意味「運しだい」ということになってしまうのです。

このため、一般的に成年後見制度といえば「法定後見」を指している事が多いのですが、もしこの記事を
ご覧の方が間に合うのであれば『任意後見』を選択することを強くお勧めします。

親など大切な方が認知症などになってしまった場合のサポートを誰がどのようにするのか?
そのときの「運にまかせる」のではなく、「自分達で決めたい」のであればこの記事が役に立つと思います。

この記事では、成年後見制度(任意後見・法定後見)でどのような違いがあり、どんなことができるのかを
具体的な事例でお伝えしていきます。
そして、どのような人が利用するべきであるか?を。
最後に、任意後見を活用する際の注意点や手続きの方法についてまとめました。

少し長くなり、難しい言葉も出てくる箇所もあります。
できる限り分かりやすい言葉で説明していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

この記事を書いた人
目次

成年後見制度(任意後見・法定後見)とは何か?具体的な事例を紹介

2つの成年後見制度(任意後見・法定後見)で“できること”は大まかに言えばほぼ同じです。
しかし、もし『親が認知症になってしまった際に、自分が後見人としてサポートしたい』のであれば、
「任意後見」を選ぶ必要があります。

詳しくは後述しますが、まずは成年後見制度(任意後見・法定後見)でどのような違いがあり、どんな事ができるのか、具体的な事例をご紹介させていただきます。

任意後見と法定後見を一覧表で比較

任意後見と法定後見の一番の違いは内容の「自由度」です。
『自分達で成年後見によるサポート内容を決めたい』場合は、自由度の高い任意後見を選んでください。

任意後見と法定後見比較一覧表

任意後見制度とは

任意後見は「判断力が十分あるうちに後見契約を結ぶ制度」です。

この制度は、『本人の判断能力が十分なうちに、将来的に任意後見人になる人との間で公正証書により任意後見契約を締結する』ところから始まります。

任意後見は”本人の意思”によって任意後見契約を結びます。
その契約内容は自由に決めることができることから、例えば
・誰を後見人とするのか
・どのような内容のサポートをしてほしいのか
など
あらかじめ任意後見契約書に書いておくことで、決めておく事ができるのです。

法定後見制度とは

法定後見は「判断力が低下した人の法的権利を守る制度」です。
本人の判断能力が低下してから、親族等が家庭裁判所に申し立てる』ところから始まります。

法定後見は、すでに判断能力が低下した状態から始まります。
本人の明確な意思を確認することができないということになり、本人や家族の意思ではなく外部の専門家など(家庭裁判所・弁護士など)によって内容が決定されることが多くなってしまうのです。

成年後見制度(任意後見・法定後見 両方)でできる4つのこと

金融機関での手続きや銀行預金の出し入れを支援できる

金融機関での各種手続きやお金の支払いなどの際に成年後見制度はとても役に立ちます。

なぜならば認知症で判断能力を失うと、たとえ配偶者や子供であっても本人に代わって金融機関の口座を
解約したり高額の振り込み・引き出しなどをすることができなくなってしまうからです。

これにより通常の生活で必要な支払いなどはもちろん、病気などで入院した場合の治療費や介護施設への支払いもできなくなります。

例え本人の口座にお金があったとしても使えず、お子さんが立替え続けなければならなくなってしまうケースもあります。

このような場合に成年後見制度を活用すれば、こうした金融機関での手続きは成年後見人が本人に代わって
行うことができます。

不動産の管理や売却を支援できる

ご自宅以外に複数の不動産をお持ちの方にとって成年後見制度はとても役に立ちます。

例えば自宅以外に賃貸マンションや土地などを複数お持ちの方の場合、これらの収益不動産の経営に関する
管理や契約など認知症などで判断能力を失うとできなくなってしまいます。
また、お子さんなどが代理で行うことも不可能となってしまいます。

さらに介護施設などに入ることになればお金も必要となります。
場合によっては賃貸マンションや土地などを売ってお金を用意する必要がでてくるかもしれません。しかし、もちろんこれらの事はいっさいできません

このような場合に成年後見制度を活用すれば、次のような事ができます。

①賃貸マンションの管理
賃貸マンションは重要な資金源となりますので、成年後見人が本人に代わり管理して収入を確保することが
できます。また、賃貸マンションが老朽化して借り手がいない場合などは修繕したり、場合によっては
売却をすることもあります。

②遊休不動産の活用
使用されていない家やマンションなどは、可能であれば賃貸にまわすことが考えられます。
また更地などは放っておくと荒れてしまい近所迷惑となってしまう事から、例えば駐車場にするなどして
土地が荒れるのを防ぎつつ収益を出すようにすることもできます。

③不動産の売却
ご自宅以外に複数の不動産を持っている場合、自宅以外の不動産については成年後見人の判断で売却して現金化することが可能です。
ご自宅(居住用不動産)についても家庭裁判所が許可すれば売却することは可能ですが、自宅以外に
売却可能な財産が無く、介護施設などに入所しており自宅の戻る見込みが無い場合でないと許可されません。

認知症の高齢者でも遺産を相続することができる

認知症の方が遺産を受取る際には成年後見制度が必要となります。

なぜならば、相続の際には相続人全員で遺産をどのように分けるのかの話し合い(遺産分割の協議)をする必要があるります。このとき、この遺産分割の協議をするためには判断能力を備えていることが必要となるからです。

例えば夫を亡くした妻が認知症であった場合でも、子供などを含め相続人全員で遺産分割の協議をすることに
なりますので、このままでは遺産相続が進まなくなってしまいます。

このような場合に成年後見制度を活用すれば、成年後見人が本人に代わって遺産分割の協議をすることができます。

成年後見人が “親族” である場合には注意が必要
なぜならば、相続人(お子様など)が同じく相続人である被後見人(夫を亡くした妻)の代理をすることはできないからです。
この場合は、被後見人(夫を亡くした妻)の利益を守るために家庭裁判所に「特別代理人選任の申立て」を行い、選ばれた特別代理人と他の相続人との間で遺産分割の協議を行うこととなります。

悪徳商法から高齢の親を守ることができる

悪徳商法から高齢者の親を守るときにも成年後見制度が役に立ちます。

訪問販売で高額商品を売りつけたり、家のリフォーム詐欺など高齢者を狙った悪徳商法が後を絶ちませんが、
成年後見人が財産を管理することで財産を守ることができます。

(任意後見では取消権がないため注意が必要ですが、対応方法については「3-1 本人が行った契約は取り消すことができない」に書いてあります)

まとめ
親が認知症になった際に、親やお金の管理などを他人に縛られたくないのであれば、自由度の高い任意後見を選びましょう!

任意後見制度で大切な財産と権利を守ろう

誰が成年後見人になるか決めたければ任意後見を選択しよう

例えばもし『親が認知症になってしまった際に、自分が後見人としてサポートしたい』など、誰が成年後見人になるか決めたいのであれば、「任意後見」を選択しましょう。

「任意後見」では財産管理を任せる相手を限定しておらず、成人であれば誰でも財産を管理する人(任意後見人)になることができます。

ただし、以下の人は任意後見人になることができません

①未成年者
②破産者で復権していない人
③成年後見人などを解任された人
④本人に対して訴訟をしたことがある人、その配偶者または親子
⑤行方不明者

つまり、「任意後見」であれば、配偶者・子供・いとこなどの親族はもちろん、信頼している弁護士・司法書士・社会福祉士・“友人”にも依頼することができるのです。

では、もうひとつの「法定後見」ではどのように財産を管理する人(法定後見人)が決まるかというと、“家庭裁判所”が決めるのです。

<財産を管理する人(後見人)を誰が決めるのか>

財産を管理する人の違い

法律や福祉の専門家が後見人を務めるケースは、全体の約80%(データ参照:成年後見関係事件の概況を占めています。(成年後見制度で親族以外が成年後見人になる割合)

もちろん法定後見でも子供などの親族が選ばれる場合もありますが(昔は法定後見でも親族が法定後見人として選ばれることが多かった)、最近では約2割となっています。

もし親の大切な財産の管理をしたり身の回りの世話を管理する人(成年後見人)について、自分や家族など
を指定したければ「任意後見」を選択しましょう。

【後見人として誰を選ぶべきか?私の考え】

任意後見の“後見人として誰を選ぶべきか”について悩むと思いますが、本人のために『もっとも親身になって世話ができるひと』を選ぶことが大切で、実際には“家族がベスト”と言えるのではないでしょうか。

なぜならば、専門家(外部の人間)では家族ほど親身になることができないからです。

実際に、認知症などにより成年後見制度が必要となるケースでも急に必要となることは少なく、多くの場合は徐々に認知症の症状が進行するなか、まずはご家族でサポートをしていることがほとんどです。

任意後見により事前に後見人としてサポートする家族を選んでおくことで、どうしても成年後見制度が必要となってしまった場合でも申立てをする前と後とで変わりなくサポートを続ける事ができるのです。

もちろん、それぞれのご家庭の事情(距離・時間など)でご家族が後見人にはなれない場合もあると思います。
その際でも、任意後見であれば信頼のできる専門家(弁護士・司法書士・社会福祉士など)をあらかじめ自分達で決めておくことができるのです。

元気なうちに準備しておかないと任意後見は選択できない

「任意後見」を利用する場合、元気なうちに準備をしておかないと選択ができなくなってしまいます。

※注意
任意後見を選択しなかった場合、「法定後見」を利用せざるをえない事になりますので注意が必要です。

これは任意後見が“判断能力に問題がない段階”で事前準備(任意後見契約の締結・公正証書)が必要
ためです。

反対に「法定後見」は本人の判断能力等が低下してきた場合に家庭裁判所に申立てることで始まります。

このように、仮に「任意後見」を利用したいと考えていても、その間に認知症などになってしまうと「法定後見」しか選ぶことができません。自ずと、後見人も家庭裁判所に決められた方にお願いするしかなくなってしまいます。

さらに、いったん家庭裁判所が法定後見人を決めると、たとえそのサポート内容や考え方が気に入らなかったとしても、後見人の変更や解任をすることは大変困難です。
しかし、その状態でも毎月2万円以上の費用を支払いながらサポートをお願いし続けなければならなくなってしまうのです。

以上のことから、後になって後悔しないためにも自分達でサポートする内容や人を決めることができる任意後見を事前に準備するようにしてください。

任意後見から法定後見に変えることは可能です!
仮に任意後見で準備していても何らかの事情で法定後見を利用したくなった場合には、その時に法定後見に切換えて利用することが可能です。
(繰り返しになりますが、逆(法定後見→任意後見)はできません)

任意後見は初期費用がかかるがトータルコストは抑えられる

任意後見は初期費用がかかりますが、その後にかかり続けるランニング費用(後見人への報酬など)を考えると、法定後見に比べてトータルコストを抑えることができます

費用の概要

※管理財産額が1,000万円~5,000万円以下の場合
※任意後見は「親族」が後見人となった場合
※法定後見は「後見」の場合で、「専門家」が後見人となった場合
 (法定後見で親族が後見人となった場合、別途 監督人が付きその報酬も必要となります)
※後見人が必要とする交通費や事務を行うための費用などは含んでおりません

以上の比較において、初期費用(①事前準備+②申立て時)の「手続き費用」については任意後見が約3.5万円に対し、法定後見が約1万円と任意後見がコスト高となっています。どちらの後見制度を利用する場合でも手続きを専門家に依頼する際にかかる「専門家費用」にコストが多くかかってくることがわかります。

しかし、その後にずっと必要となるランニングコストでは大きな差があり、上記の例では法定後見で専門家が
後見人となることで月額2万円(年間24万円)も多くのコストを負担し続けなければならなくなります。

さらに管理財産額が5,000万円を超えてくる場合にはこの差はさらに広がり、月額2.5~3万円(年間30~36万円)も負担が大きくなります。

トータルコストを抑えるためにも初期費用をかけても任意後見を利用することをお勧めします。

【専門家が後見人となる場合の報酬基準】

後見人の報酬は、後見を受ける人(被後見人)の財産から支払われます。その基準は家庭裁判所から
次のような基準価格(目安)となっています。

管理財産額 月額費用
1000万円以下 2万円
1000万円~5000万円 3~4万円
5000万円超 5~6万円

出典:東京家庭裁判所

通常の後見業務を行う際の基本報酬とは別に、「訴訟・遺産分割調停・居住用不動産の任意売却」など
特別の行為をした場合には付加報酬(場合によって、それぞれ約40万円~150万円など)が必要と
なります。

まとめ
任意後見がお勧め!
 
①任意後見は事前に準備しないと「法定後見」になってしまう
②任意後見を選んでおけば法定後見も選べる(が、逆は不可)
③法定後見に比べるとコストが低い

どのような人が成年後見制度(任意後見・法定後見)を利用するべきか

任意後見をお勧めする場合

親や配偶者が認知症となる心配のある方

親や配偶者が認知症となる心配のある方は、まだ元気な今のうちに任意後見契約を結ぶことをお勧めいたします。

これは、まだ大丈夫と思っているうちに症状が進行してしまい「認知症と診断」されてしまった途端に銀行預金が引き出せなくなったり、不動産の売却手続きができなくなります。

このように、今まで親や配偶者に対してサポートしてきた事を、親や配偶者が認知症になってしまった場合でも自分が後見人としてサポートしたいのであれば、まだ元気なうちに任意後見契約を結んでおきましょう。

法定後見しか選択できない場合

任意後見を準備せずに認知症などになってしまったとき

いままで見ていただいた通り、2つの成年後見制度(任意後見・法定後見)を比較して、もし『親が認知症になってしまった際に、自分が後見人としてサポートしたい』などと考えているのであれば、法定後見を選ぶ理由は特に無いといえます。

つまり、あえて法定後見しか選択できない場合とは、『任意後見を準備せずに認知症などになってしまったとき』といえます。

また、なかにはいったん任意後見を選択してしまうと、親などが認知症になった際に必ず後見人としてサポートし続けなければならないと考えて躊躇してしまう方もみえるかと思いますが、そんなことはありません

事前に任意後見契約を結んでいた場合であれば、そのまま任意後見人としてサポートすることもできます。
途中でどうしても後見を続けることが困難であれば家庭裁判所の許可は必要となりますが、任意後見契約を解除し法定後見に切替えることも可能です。。

以上のことから、もし『親が認知症になってしまった際に、自分が後見人としてサポートしたい』のであれば、選択肢を自分が持つためにも「任意後見」の手続きをしておきましょう。

財産管理を任せたいと思える人がいないとき

財産管理を任せたいと思える人がいない場合は、法定後見を選択することになります。

例えば、身寄りがない方、しばらく家族と会っていない方など、もしも自身が認知症等になってしまった場合は、法定後見を利用して家庭裁判所に後見人を選んでもらう方がよいでしょう。

まとめ
<任意後見を選ぶべき方>
・親や配偶者が認知症となる心配のある方<法定後見を選ぶ必要がある場合>
・任意後見を準備せずに認知症などになってしまったとき
・財産管理を任せたいと思える人がいないとき

任意後見を活用する際の注意点

本人が行った契約は取り消すことができない

「任意後見」では本人が行った契約を取り消すことができないので注意が必要です。

これは法定後見では後見人に契約を取り消す権限が与えられている事に対し、任意後見では本人を代理する
権限しかなく契約の取消権がないためです。

例えば、本人が悪徳業者などに騙されて契約してしまった場合などでは、取消権によって契約を無かったことにできません。
しかし任意後見契約により「紛争処理についての代理権」を与えることによって、本人の代理人として業者と
交渉をおこなったり訴訟によって解決を図ることは可能です。

いづれにしても、本人が騙されたりしないように任意後見の場合は、近くにいる方が後見人になることをお勧めします。

定期的に事務報告書の作成が必要

任意後見制度を利用して後見人になった方は、定期的(3か月~6か月)に、監督人へ、財産目録や収支報告書の提出が必要です。

多少手間がかかりますが、複雑な書類ではありません。専門家に任せて高額な費用を払うより、後見人の方ご自身で作成することをお勧めします

以下のページに事務手続きの書類の書式がまとめられておりますので、ぜひ活用してみてください。

参照:千葉司法裁判所|事務手続き書類の書式

かならず任意後見監督人がつき、費用が発生する

任意後見では後見人が不正をしないかチェックするために、かならず任意後見監督人(家庭裁判所が司法書士、弁護士などの資格者を任意後見監督人として選任します)がつきます

たとえばお子さんが任意後見人となる場合などで任意後見人の報酬は無償と契約で定めたとしても、任意後見監督人の報酬は発生してしまいます。

さらに、この任意後見人を専門家に依頼した場合でも任意後見監督人は別につきますので、それぞれに報酬は発生してしまうので注意してください。

任意後見監督人の基本報酬
 条 件報 酬
管理財産額
(預貯金などの財産)
5,000万円 未満月額 1~2万円
5,000万円 以上月額 2.5~3万円

ちなみに、「法定後見」を利用して家族が法定後見人となった場合でも監督人はつきますので、同様の報酬が発生してしまいます。

まとめ
任意後見制度を選んだ際は、以下の3点に注意しましょう。

①本人が行った契約は取り消すことができない

②定期的に事務報告書の作成が必要
③かならず任意後見監督人がつき、費用が発生する

任意後見を始めるための4ステップ

ステップ① 任意後見人を決める

まずは将来の不安や心配事について、どのようなサポートを受けたいのか、本人と十分に話し合ったうえで、任意後見内容および任意後見人(任意後見受任者)を決めます。

本人が、家族や友人・親族・専門家などのなかから信頼できる人を選ぶのですが、全てにおいて任せられるような、そんな信頼を寄せられる人が望ましいです。

ステップ② 公証人役場に行き、公正証書を作成する(任意後見契約を結ぶ)

本人が選んだ任意後見人との間で、支援内容を盛り込んだ契約を結びます。任意後見契約は必ず公正証書で作成しなければならないため、最寄りの公証人役場に出向きましょう

公証人に契約書の内容をチェックしてもらい、アドバイスをもらいながら作成していきます。これが完了すると、任意後見人が決定されます。

(注:公証人役場に行く場合、ひな型通りに作成されます。専門的なアドバイスが必要な場合は、司法書士などの専門家に一度アドバイスを受けましょう。)

ステップ③ 任意後見監督人の選任の申し立て

本人が認知症などで判断能力を失い、後見の必要性が生じたら、家族などにより家庭裁判所へ申し立てを行います。

任意後見を開始するためには、任意後見監督人を設定する必要がありますので、家庭裁判所によって任意後見監督人を選任してもらいます。

(注:任意後見の申立てができるのは本人,配偶者,4親等内の親族,任意後見受任者です。)

ステップ④  後見の開始

任意後見人、さらに任意後見監督人が決定すると、後見が開始されます。

公正証書で作成した内容をもとに、本人はサポートを受けることになります。

まとめ
任意後見を始めるためには次の4ステップで進めます。

①任意後見人を決める
②公証人役場に行き、公正証書を作成
③任意後見監督人の選任の申し立て
④後見の開始

まとめ

成年後見制度(任意後見・法定後見)の内容や違いをお伝えしたうえで、大切な財産と権利を守る
ために「任意後見」を活用することをお勧めさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。

繰り返しになってしまいますが、本来は成年後見制度を利用しなくてもすむことが一番良いのですが、
後で後悔しないためにまずは「任意後見」の準備をしておき、どうしても利用せざるを得ない場合にのみ
自分達の意思で利用するかどうかを選択できるようにしておくことが重要です。

親など大切な方が認知症などになってしまった場合のサポートを、そのときの「運にまかせる」のではなく、
「自分達で決めたい」のであれば『任意後見』の準備をしてくださいね。

なお、任意後見契約の内容はもちろん、その他の制度(遺言・家族信託・後見制度支援信託 など)を
比較したり組み合わせて対策する必要があるケースもありますので、まずは司法書士などの専門家や
FPに相談することをお勧めいたします。

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