児童手当がもらえない年収の目安は1200万!所得制限ギリギリの人がもらう方法
夫の年収が高いと児童手当はもらえないと聞きました。児童手当をもらえない年収はいくらからなのでしょうか?
児童手当がもらえない年収の目安は1200万円(扶養家族が3人の場合)です。これまで「年収960万円(目安)以上」は特例給付の月額5000円がもらえていましたが、現在はそれが無くなっています。
児童手当がもらえるかもらえないかの年収の目安は、家族構成(扶養する人数)で変動したり、計算がややこしかったりと、受給条件はやや複雑です。
本記事では、児童手当をもらえない年収を、表や具体例を使ってできる限り分かりやすく解説していきます。
また、年収が高く、児童手当がもらえる基準を少し超えてしまっている方に、「所得を下げて児童手当をもらう方法」を具体的にお伝えします。
この記事で分かること!
- 児童手当がもらえない年収の目安は約1200万円
- 児童手当をもらえるかどうか、計算時のポイント
- 所得を下げて児童手当をもらう方法
児童手当がもらえない年収の目安は約1200万円
児童手当、及び特例給付(児童1人当たり月額一律5,000円)がもらえなくなる年収の目安は約1200万円です。(扶養親族等の数が3人の場合)
※年収の目安は家族構成(扶養する人数)で変動。
現在、児童手当の受給条件はやや複雑です。
児童手当の受給条件
- 所得が①(所得制限限度額)未満の場合は児童手当(表面の支給額)がもらえる
- 所得が①以上②(所得上限限度額)未満の場合、特例給付(児童1人当たり月額一律5000円)がもらえる
- 所得が②以上の場合、児童手当及び特例給付はもらえない
『扶養している家族の人数』とご自身の『年収』を確認して、上記表の①以下なのか、①と②の間なのか、②を超えているのかを確認しましょう。
このように、児童手当、及び特例給付がもらえなくなる年収の目安は約1200万円です。
ただし、正確には”所得”で判断しますので、年収から所得を計算する方法を次から詳しく見ていきます。
特例給付をもらえない場合、子ども一人あたり合計約90万円が受け取れなくなる
特例給付をもらえない世帯では、子ども1人あたり年間6万円の支給が無くなることになります。
誕生から中学校卒業までを計算すると、子ども1人の場合は合計約90万円が受け取れなくなります。
月5000円とは言え、積み重ねると大きい金額になりますね。
2024年10月より児童手当が拡充、所得制限が撤廃予定
2024年10月から、児童手当が拡充されると発表されており、その変更点の中に、『所得制限の撤廃』も盛り込まれています。
これにより、原則全員が児童手当の給付対象になる予定です。
2024年10月からの児童手当変更点
- 所得制限が廃止され、対象者が全員に
- 高校卒業まで支給される
- 第3子以降は30,000円が支給される
児童手当をもらえるかどうか、計算時のポイント
児童手当をもらえるかどうかの所得を計算する際には、2つのポイントを押さえておく必要があります。
なぜなら一律で、年収1200万円以上なら児童手当はもらえない”わけではない”からです。
- 正確には年収ではなく所得で判断される
- 共働きの場合は、所得の高い方で判断される
一つずつ詳しく見ていきましょう。
児童手当をもらえるかどうかは、正確には年収ではなく所得で判断
児童手当をもらえないのは”年収1200万円以上”、というのはあくまで目安です。
というのも、実際には年収ではなく”所得”によって判断されるからです。
「年収(収入)」と「所得」の違い
年収とは「入ってくるお金のこと」です。会社員であれば、1年間の収入(給与やボーナスなど)の合計金額のこと。
所得とは「収入から経費を引いた(控除)もの」です。
児童手当では、各種控除を使う事ができます(後述)
児童手当における『所得』は次の計算式で求めることができます。
年収1200万円の3人家族の例
年収1200万円の会社員の夫、専業主婦の妻、小学生の子ども1人の場合、以下が控除されます。
『給与所得控除』195万円
※参照:国税庁|給与所得控除
先の計算式に当てはめると、所得は
1200万円 -195万円 – 8万円 = 997万円
扶養親族が2人いる世帯の所得上限限度額は934万円なので、このケースでは児童手当(及び特例給付)はもらえません。
副業をしていたり、個人事業主等は所得の計算が複雑
副業をしている場合、給与に副業収入を含める必要があります。また、個人事業主やフリーランスの方は、所得の種類も10種類に分けられるなど、計算が複雑になる場合があります。
参照:所得の種類と課税方法|国税庁 (nta.go.jp)
正確に所得を計算したい場合は、ファイナンシャルプランナーや税理士、または税務署等に相談にしましょう。
共働きの場合は所得の高い方で判断
夫婦共働きの場合は、どちらか高い方の所得で判断されます。
児童手当の受給者は、生計中心者(所得が高い方)となっているからです。
例えば、次のような夫婦の場合はどうなるのか見てみましょう。
共働き夫婦、3人家族の例
年収800万円の夫、年収400万円の妻、小学生の子ども1人
<所得の計算>
夫:800万円-190万円-8万円=602万円
妻:400万円-124万円-8万円=268万円
この場合、所得が高いのは夫ですので、夫の所得で判断されます。
子どもが1人の場合、所得制限限度額は660万円でそれ以下なので、児童手当を受け取ることができます。
このように、夫婦共働きの際の児童手当は、夫婦どちらか所得の高い方で判断されます。
”夫婦合算での判断”は現在検討中
夫婦合算については公平性の観点から導入が必要との意見もあり、引き続き検討するということになっています。
所得制限ギリギリの人が児童手当をもらう方法
もし所得が「所得制限限度額」や「所得上限限度額」をギリギリ超えてしまっているような場合、所得控除を使って所得を下げれば児童手当(特例給付)をもらえる可能性があります。
所得控除を使えば年収を下げることなく、”所得”のみを下げることができます。
所得控除を使えば所得を下げられる
「所得控除」を利用すれば所得を下げることができます。
児童手当における所得控除の種類は以下のようなものがあります。
- 給与・年金所得控除(給与所得・年金所得のある方)
- 雑損控除
- 医療費控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 障害者控除
- 寡婦・ひとり親控除
- 勤労学生控除
- 譲渡所得控除
この中でも「小規模企業共済等掛金控除」は所得を下げるのにとても有効です。
なぜなら、この控除は『iDeCo(個人型確定拠出年金)』での掛け金を全額所得控除することができるからです。
次に『iDeCo(個人型確定拠出年金)』を利用して所得を下げた例を見てみましょう。
控除(iDeCo)を活用して所得を下げて児童手当をもらえた例
以下は、所得控除のiDeCoを活用して児童手当をもらえた例です。
iDeCoを活用して児童手当をもらえた例
年収1200万円(収入は給与のみ)の会社員の夫、専業主婦の妻、小学生の子ども2人の4人家族
※扶養親族は3人。控除は以下のみ。
・給与所得控除 195万円
<所得の計算>
1200万円-195万円-8万円=997万円(所得基準額)
給与所得控除だけでは、冒頭で説明した「所得上限限度額 972万円」をオーバーしているため、児童手当(特例給付)はもらえません。
そこで更に、掛金が全額所得控除されるiDeCoを年間30万円行うことにしました。
所得基準額の997万円から30万円が控除され、最終的に、
所得基準額:967万円
「所得上限限度額 972万円」以下になり、特例給付をもらえるようになりました。
このように、控除を活用していくと、児童手当(特例給付)をもらえる可能性があります。
所得が「所得制限限度額」や「所得上限限度額」をギリギリ超えてしまっているような場合は、積極的に所得控除を活用していくと良いでしょう。
iDeCoに関してより詳しく知りたい方はこちらの記事も読んでみてください
まとめ
児童手当がもらえない年収の目安は約1200万円(扶養家族が3人の場合)です。
ただ、これを超える方でも、所得控除を上手に活用すれば児童手当(特例給付)をもらえる可能性が出てきます。
実は、所得を下げる方法は所得控除以外にも様々あります。
所得を下げる方法を知りたい方は、控除や節税に詳しいファイナンシャルプランナーに相談することをお勧めします。