特別養子縁組の手続きの流れ。円滑に進める為に知っておくべきこと

特別養子縁組の手続きの流れ。円滑に進める為に知っておくべきこと

特別養子縁組を検討しています。具体的な手続き内容を教えてもらえますか?

具体的には、子どもを育てる養親と生みの親それぞれの手続きの流れがあります。

※窓口としては、児童相談所と民間の特別養子縁組あっせん団体がありますが、ここでは民間団体での生みの親、養親それぞれの手続きの流れを解説していきます。

この記事で分かること

  • 特別養子縁組あっせん団体の、生みの親の手続きの流れ
  • 特別養子縁組あっせん団体の、養親の手続きの流れ
  • 児童相談所と民間の特別養子縁組あっせん団体の違い
  • 手続き費用について

語句説明
生みの親……子どもを出産する親
養親……子どもを育てる親

※この記事では、生みの親が子どもを特別養子縁組で託し意思を固めている前提の内容になっています。実際の相談では、生みの親自身が育てていくことも含めて、あらゆる角度から検討を重ね、特別養子縁組がベストだと判断された時のみに縁組の話を進めることになります。

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目次

民間の特別養子縁組あっせん団体(新生児縁組)での手続きの流れ

特別養子縁組は子どもの年齢が15歳未満という条件ですが、今回は新生児縁組の手続きに流れについて解説します。

新生児の縁組は、子どもが生まれる前から特別養子縁組を前提として手続きの準備を始めます。
「妊娠をしたものの、生みの親が子どもを自分で育てることが難しい」という時などが該当します。

下記は一般的な民間の特別養子縁組あっせん団体での養子縁組をする際の相関図となります。

民間の特別養子縁組あっせん団体(新生児縁組)での手続きの流れ

生みの親の手続きと流れ

養子縁組をする場合の、生みの親の手続きと流れです。
出産前と出産後に分けて解説します。

生みの親の手続きと流れ

生みの親が出産前に行う手続き

① 相談・面談

まずは、相談することから始めましょう。

子どもを養親に託すことを決めていなくても、無料で相談ができます。「思いがけない妊娠」で困っている時の相談窓口にもなっています。

メールやSNSで24時間対応している団体、対面で相談できる団体もあります。

②出産前手続き
出産することを決めたら、以下の手続きが必要です。

  • 提出するもの:妊娠届出書(市区町村へ)
  • 取得するもの:母子健康手帳、妊婦健康検査医受診票

※相談先の特別養子縁組支援担当者のサポートを受けることができます。

③健診・報告
出産する病院を決定して、定期的に健診を受け、特別養子縁組支援担当者に経過報告をします。

これは母子ともに健康で安全に出産するために大切なステップです。

④出産前面談
出産直前には再度、特別養子縁組支援担当者と面談を行います。

病院スタッフ、医療ソーシャルワーカー、保健師などの連携者と今後の確認をします。

もし子どもを自分で育てたい思いが強くなったら、養親に託すことをやめることもできます。出産までに何度か特別養子縁組についての意思確認があります。(出産後に意思の撤回期限があります。)

生みの親が出産後に行う手続き

⑤意志確認
再度、特別養子縁組支援担当者より子どもを養親に託すかの意志の確認が行われます。
 
⑥出産後手続き
出産後は以下の手続きが必要です。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     手続きは入院中外出して行う場合と、退院後に行う場合もあります。

  • 特別養子縁組支援担当者と一緒に退院手続き
  • 出生届:出生地か住民票がある自治体へ提出(市区町村、14日以内)

この手続きにより、戸籍に子どもの戸籍が作成されます。
 (縁組審判確定後に、子どもの戸籍は養親側に変更されます。)

他にも、子どもの健康保険、児童手当、医療券、マイナンバーカードの作成など
必要な各種手続きがあります。


⑦養親へ子どもを託す
手続き準備と心の準備が整い次第、あっせん団体の仲介を経て、子どもを養親に託します

この時には、生みの親と養親希望者と面会が設定されるケースもあります。

⑧家庭裁判所による面談
裁判所から、生みの親御さんへ連絡があります。

養親候補者が家庭裁判所に審判申し立てを行った後に連絡がきます。

ご自身で育てられない事情などを聞かれる面談調査が行われ、子どもが養親の籍に入ることについての同意が求められます。

裁判所からの調査聞き取り後、2週間以内が最終の同意撤回期限になっています。
これを過ぎると法的に撤回はできません。

養親の手続きの流れ

養親の手続きの流れ

①あっせん団体への申込から ~ 赤ちゃんを迎える待機まで

養親希望者はあっせん団体に申し込み、研修、審査を経て養親として登録されると、待機期間に入ります。

申込から審査までは約3か月位かかります。(団体によって異なる) 

育休取得が必要な場合は、職場と相談しておくことと、待機に入ったら、少しずつできる準備をはじめることをおすすめします。

②子ども紹介
あっせん団体内での決定に従って、子どもを紹介されます。

この時に、誕生日時、性別、体重、健康状態などの情報も初めて伝えられます。

③子ども受け入れの決定
子どもの受け入れが決まったら、育児を始めるための身の回りの準備を整えて、お迎えします。

ここからは、法で定められている6ヶ月以上の監護期間が始まり、特別養子縁組の確定まで8か月~1年を要します。この間は育児日誌をつけて、子どもの記録を残しておきましょう。後に裁判所からの調査が入る際に、育児日誌の提出を求められることがあります。

④子どもの受託時に必要な諸手続き
子どもを家庭に受け入れてから役所手続きを行います。

子どもが居住地で公的な支援を受けられるようにするためです。

手続き項目

  • 転入届
  • 国民健康保険
  • 児童手当の申請
  • 乳児医療証の申請
  • 同居児童に関する届出書の提出
  • 新生児訪問(地区担当保健師に連絡)
  • 1か月健診の受診(小児科を手配)

⑤家庭裁判所への申立
特別養子縁組の審判は2段階になっており、養親は居住地の管轄の家庭裁判所に申し立てをします。

申し立ての際には、同時に2段階の申し立てを行います。

1段階:特別養子適格の確認の申立て
(実親による養育状況と実親の同意の有無の審判)

2段階:特別養子縁組成立の申立て
(6ヶ月以上の試験養育期間を考慮して養子と養親のマッチングの審判)      
 
⑥家庭裁判所による面談の調査
家庭裁判所から家庭訪問と面談の調査が入ります。

⑦児童相談所による家庭訪問
「同居児童に関する届出」に基いた確認のため、児童相談所の家庭訪問があります。

⑧養子縁組成立
審判確定がなされたら、入籍の手続きを行います。

家庭裁判所へ申立の際の必要書類

1段階:特別養子適格の確認の申立て時

  • 申立書 1通
  • 標準的な申立添付書類
  • 養子となる子どもの戸籍謄本
  • 養子となる子どもの実の父母の戸籍謄本

2段階:特別養子縁組成立の申立て時

  • 申立書 1通  
  • 標準的な申立添付書類
  • 養親になる人の戸籍謄本

参考:裁判所|特別養子縁組成立

手続きの窓口としては、児童相談所と民間の特別養子縁組あっせん団体の2つ

特別養子縁組の手続きは、児童相談所と特別養子縁組あっせん団体(あっせん機関)で行っています

児童相談所は公的機関で、あっせん機関は都道府県から許可を受けている民間の団体です。

手続きの窓口としては、児童相談所と民間の特別養子縁組あっせん団体の2つ

どちらも、妊婦が安心して出産し、生まれてくる子どもが家庭で健全に育てられるように行政で定められた機関です。

専門的な知識を持った職員の方がおり、保健・医療・福祉の観点から妊婦さんと子どもにとっての最善を検討しながらすすめています。

民間の特別養子縁組あっせん団体

認可を受けた団体だけが特別養子縁組のあっせんができます。

相談内容:養子縁組
相談者:生みの親、養親
相談場所:全国23団体(住んでいる地域の限定はなし)

養子縁組あっせん事業者一覧(令和4年4月1日現在)

団体ごとに、支援内容やスタッフの体制には特徴があることと、担当の方との相性もあるかと思います。可能であれば、いくつかの団体に連絡してみることをおすすめします。

児童相談所は子どもに関するあらゆる問題の相談窓口

児童相談所は多岐に渡る相談・対応の一つとして、特別養子縁組のあっせんを行っています。
子どもに関するあらゆる問題解決のために、児童福祉法にもとづいて置かれた専門的な相談機関です。

相談内容:子ども(18歳未満)に関すること全般
相談者:親、家族、学校の先生など、どんな立場の方からでも相談を受付
相談場所:住んでいる地域の児童相談所
あっせんの取り組み:自治体ごとに違いがある。

児童相談所も思いがけない妊娠の無料相談窓口となっています。「189」にかけると、住んでいる地域の児童相談所につながり、匿名で相談することが可能です。

未成年の妊娠や事件性のある妊娠の場合には、児童相談所に連絡することをおすすめします。

「妊娠SOS」は匿名相談が可能

妊娠SOS(一般社団法人全国妊娠SOSネットワーク)”は、思いがけない妊娠をして

「誰にも相談できない・・・」
「どうしたらいいの・・・」

など、精神的にも、身体的にも危機的状態に陥ってしまった際、匿名で電話、メール、SNSなどで相談できる窓口です。

相談者の不安に寄り添い、保健・医療・福祉の情報を伝えるとともに、必要な機関への橋渡しや、同行支援をすることもあります。

一般社団法人全国妊娠SOSネットワーク

特別養子縁組の手続きにかかる費用

特別養子縁組の手続きに関して、生みの親は費用はかかりませんが、養親は、民間あっせん機関の場合には費用が発生します

それぞれの費用について説明します。

生みの親の手続き費用

特別養子縁組の手続きに関しての費用は基本的にはかかりません

実費として、裁判所に提出する戸籍謄本の取得費用がかかります。
※出産費用は別途かかります。

出産費用について

出産費用は健康保険制度の出産育児一時金を利用します。不足分は様々な制度や、支援団体と
相談し支援を受けることができます。

出産一時金は1児につき50万円まで支給されます。
※参照:厚生労働省|出産育児一時金の支給額・支払方法について

また、妊婦健診の費用も個人の負担が軽減されています。母子手帳の妊婦健康検査医受診票を使用することができるからです。

養親の手続き費用

民間のあっせん機関では、あっせん手数料がかかります

厚生労働省からの指示に沿って費用を設定していますが、団体によって費用は0円~200万円とかなりの幅があります。

公表をしていないことがほとんどなので、直接、問い合わせてみることをおすすめします。

まとめ

特別養子縁組とは、生みの親と育ての親(養親)の両方がいて成立する制度です。

生みの親も、育ての親も、どちらも子どものいのちをつなぐ尊い存在であり、大切な役割を担っています。

どうぞ一人で悩まず、相談してみてください。

相談先:NPO法人ライフバトン

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