老人ホーム7種類の役割と費用解説!お金に困らないよう今やるべきこと

老人ホーム7種類の役割と費用解説!お金に困らないよう今やるべきこと

老人ホームへ入る際、入居金や毎月かかる費用など、いったいいくらかかるのだろう?、と心配になりますよね。

また、老人ホームといっても、介護状態ではない(自立)人が対象の施設や、介護3からでないと入れない施設など、種類も様々費用も様々です

もし、あなたが親の介護を心配しているのであれば、
「親の年金だけで入れるような老人ホームはあるのだろうか?」
「老人ホームに入ったところで毎月の費用はいくらかかるのだろう」
「どんな老人ホームがいいんだろう?」
と思われるかもしれません。

この記事では、老人ホームに入ることになってから慌てないためにも、老人ホームの特徴や料金について詳しく解説していきます。

老人ホームは「種類も様々」と言いましたが、“状態別”で入れるホームが分かるフローチャートを作りました。

おかねの準備も大切で、親の収入や保有資産も把握しておかなければなりせん。
さらには、介護にまつわる税制制度などの知識をつけておくことも大切です。

収入や資産を把握しないまま老人ホームに入ってお金が足りなくなってしまったとなったら大変です。
税制制度の知識をつけておかないと、介護費用を軽減できたのに多めに支払ったとうことになります。

この記事では、
・老人ホームの施設ごとの役割と費用(フローチャート付き!)
・老人ホームに入る前に準備しておくこと
・介護費用を抑える税金や制度

など解説していきます。

筆者の親の老人ホームでかかった費用、体験談も記載しています。ぜひご参考ください。

この記事を書いた人
目次

老人ホームの費用一覧

老人ホームには公的施設民間施設があり、いくつか種類があります。それによって費用は様々です。

老人ホームの種類ごとの費用を一覧にしました。

老人ホームの費用一覧

※月額料金は施設介護サービス費、居住費、食費など含む。医療費は入っていません
※自己負担額額です。

費用面では、入居は0~数億円、月額利用料も15万~35万です。費用に開きがあります。

<費用にばらつきがあるのはなぜ?>
・場所の違い
→首都圏は土地が高いので地方より高いです

・運営義業者のコンセプトの違い
→富裕層向けにしている

・設備の違い
→ラウンジルームやプール、シェフの料理など

・人件費の違い
→介護体制が手厚い、看護師が24時間常駐している等

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、各施設には『入居条件があります』

例えば、「特別養護老人ホーム」は入居金もありませんし、比較的月額利用料も安いですが、入居条件が『要介護3以上』です。公的施設で入所待ち(待機)が長いです。

例えば「介護付有料老人ホーム」は費用は他よりも高い傾向にありますが、入居条件が『自立~要介護5まで』と幅広く対応しています
費用が高い分、24時間体制の医療ケア、アクティビティなど多様なサービスのところもあります。

各老人ホームの種類や役割、どのような人が対象なのか次章で解説していきます。

<介護度の状態>
介護状態の一覧表

老人ホームの種類と役割(フローチャート付)

老人ホームといっても、対象や利用目的が異なります。

認知症の人が対象の施設や、身の回りの事は自分でできる(自立)人向けなど、介護の状態など、役割ごとに分かれています。
似たような名前の施設があり、わかりにくいですね。

そこで、状態別にわけて、施設が選べるように『フローチャートを作りました。

>介護認定をうけているのか 自立なのか
>認知症と診断されているのか 認知症であはないのか
>看護(医療行為)が必要か
などで入居できる老人ホームの種類が決まってきます。

老人ホームのフローチャート

※おおよその目安としてみてください。
「介護老人施設」でも認知症の方を受け入れているところもあります。
「住宅型有料老人ホーム」では医療に関しては協力医療機関で対応しているところもあります

①〜⑦の各老人ホームの特徴を解説します。

①特別養護老人ホーム
費用が安い 地域によっては入居待ちも。

・認知症… 受け入れ
・介護 … ホーム内スタッフ
・看護 … ホーム内看護師
・医療 … 協力医療機関
終の棲家,看取り介護

②介護付有料老人ホーム
費用は割高。施設によって費用の差がある(サービスや設備の違い)。24時間体制の医療ケア、アクティビティなど多様なサービスがある。

・認知症… 受け入れ
・介護 … ホーム内スタッフ
・看護 … ホーム内看護師
・医療 … 協力医療機関 (診療所が併設もあり)
終の棲家,看取り介護

③グループホーム
認知症の人が対象。医療行為が必要になってくると退去の可能性あり。

・認知症… 受け入れ
・介護 …ホーム内スタッフ
・看護 …いない場合が多い
・医療 …協力医療機関

④介護老人保健施設
在宅復帰が目的のリハビリ施設。入居期間は原則3~6か月。

・認知症… 受け入れの場合あり
・介護 …ホーム内スタッフ
・看護 …ホーム内スタッフ
・医療 …ホーム内併設の医療機関

⑤住宅型有料老人ホーム
費用は割高 施設によって費用の差がある(サービスや設備の違い)。介護度が高くなると退去の可能性あり。

・認知症…受け入れない場合が多い
・介護 …外部サービス利用
・看護 …訪問看護利用
・医療 …協力医療機関

⑥軽費老人ホーム

身寄りない、また身寄りがあるとしても何らかの事情によって介助や介護を受けることのできない高齢者を対象。福祉施設の要素が強い。

※A型・B型・C型に分かれる。

■A型・B型
A型(食事と見守り)・B型(見守りのみ)は所得制限あり。自立が対象。
・認知症…受入れない
・介護 …なし
・看護 …なし
・医療 …なし

■C型(=ケアハウス)
所得の制限なし。さらに「一般型(自立型)」と「介護型」に分かれる。

「一般型」
自立~要介護2。要介護3以上は退去となる。
・認知症…受け入れない
・介護 …外部サービス利用
・看護 …訪問看護利用
・医療 …協力医療機関

「介護型」
要介護1以上。
・認知症…受け入れの場合あり
・介護 …ホーム内スタッフ
・看護 …ホーム内看護師
・医療 …協力医療機関

⑦サービス付高齢者住宅
自立対象。常勤スタッフによる「安否確認」「生活相談」のみ。自由度が高い。介護度が高いと退去の可能性あり。
・認知症…受け入れない
・介護 …外部サービス利用
・看護 …訪問看護利用
・医療 …協力医療機関

このように、どのような施設があって、どのような役割があるか知っておきましょう。

入居のポイント! 「見学」をしよう
見学の予約を入れて、実際の目で見て確かめることをお勧めします。施設によって雰囲気も異なります。快適に過ごせるところを探したいものですね。

老人ホーム選びは担当してくれているケアマネージャーがいる場合は、ケアマネージャーへ相談するといいです。
ケアマネージャーがいない、あるいは別で相談したい場合は「地域包括センター」に相談(※1)するといいでしょう。

※1 地域包括支援センター
介護保険法で定められた、地域住民の保健・福祉・医療の向上、虐待防止、介護予防マネジメントなどを総合的に行う機関である。各区市町村に設置される。2005年の介護保険法改正で制定された。センターには、保健師、主任ケアマネージャー、社会福祉士が置かれ、専門性を生かして相互連携しながら業務にあたる。

老人ホームで過ごせるように今できること

ここからは、親が老人ホームに入るため、子がしなくてはいけない事を解説していきます。
(もちろん、あなた自身が老人ホームに入るための場合はあなたにおきかえて読んでください)

親の月の収入(年金等)と資産を把握する

介護費用は基本的に、「親のお金」で払っていくことが望ましいです

なぜなら、子には子の人生があり、親の介護費用を子が出してしまうと、住宅ローンの支払い教育費などに使うためのお金が減ってしまい、計画通りに進まなくなってしまうからです。

また、自分たちの老後資金も用意をしておかなければなりません。親の介護が想定よりも長期に渡れば、後になって大きな後悔を招くことにもなります。

そうならないために、親の月の収入(年金額)や資産を把握することが大切です。

・収入(年金、不動産所得など)
・預貯金、有価証券(債券や株式など)
・生命保険(死亡保障、個人年金保険)
・家の価値

通帳と印鑑、生命保険の保険証、家の権利証などの保管場所も、親が元気なうちに確認をしておき
ましょう。認知症になってしまうと探すことが難しくなります。
~認知症であった私の義母の場合~

義母は認知症で、施設に入ることになりました。以下、実際に私が行ったことです。あなたの参考になれば幸いです。 【義母の資産について確認】
認知症がひどくなる前(要介護1の頃)に義母にお願いをして、通帳と印鑑を全部出してもらい、夫と一緒に、現預金がいくらあるか確認しました。

定期預金は認知が進んでしまうとお金がおろせなくなるので(普通預金も同じですが)、解約してもらい普通預金へ移動してもらいました。流動資金として、何かあった場合にすぐに利用できるからです。【家の資産についての確認】
購入した時の不動産屋さんに依頼をして見積もりをしてもらいました。その1年後(グループホームに入る前に)買い手がついて義母がサインができるうちに売却をしました。 【収入(年金額)についての確認】
通帳と源泉徴収票で、月の年金額を把握しました。このように、まだしっかりしているうちに、できることをやっておくことをお勧めします。

認知症が進んでしまうと、預金の引き出しや不動産売買に時間と手間がかかるようになってしまいます。

今後の計画をたてる

だいたいの老人ホームが決まったら、費用が分かりますので計画を立てましょう。
費用は、預貯金【ストック】と収入【フロー】で考えます。

・入居金一時金 → 親の預貯金【ストック】から
・毎月かかる費用 → 親の収入(年金)【フロー】から

おおよその計画が出来たところで、
収入(年金)だけでは、毎月の費用が足りない場合もあるかもしれません。

その場合は、親の貯金から老人ホーム費用を出すことになります。
ここでも計画が大切です。

なぜなら、無計画で老人ホームへ入所して、貯金を全部使い果たしてしまう事になりかねないからです。介護は何年まで続くかわかりません。きちんと計画をすることが必要なのです。

老人ホーム費用の計算方法
不足分(月) × 12カ月 × 年数(余命-現在の歳) = トータルの不足分
以下、「余命」の参考データ
認知症の生命予後に関してはさまざまな研究結果があり,発症からの生命予後の中央値は3~12年(多くは7~10年),診断からの生命予後は3~7年(発症から正確な診断までに約3年かかることを反映)と幅が広い)。引用:認知症の生命予後と終末期,どう判断する?(関口健二)

ちゃんと預貯金(ストック)から捻出しても十分足りるのか、計画を立てることが大切です。

〜老人ホーム約8年間でいくらかかったか(私の場合)~

私の場合、老人ホーム(2施設)8年間で1784万円かかりました。

<内訳>
①グループホーム
1,472万円 (5年4カ月)
(毎月の費用 … 毎月23万 × 64カ月)
※滞在費、食費、光熱費、おむつ、管理費、介護費

②特別養護老人ホーム
312万円 (2年間)
(毎月の費用 … 毎月13万円 × 24カ月)
※滞在費、食費、光熱費、おむつ、管理費、介護費

本人の年金は月6万円ほど。義父の遺族年金が月13万円あったので、預貯金からの取り崩しは100万円ほどで済みました。遺族年金がなかったら…とても無理でした。

老人ホームの皆さんの協力をえながら、義母は穏やかに老後を過ごすことができたと思います。

老人ホームの入居一時金と月額利用料の関係を知っておく

民間の老人ホームの場合、入居一時金が0万~数億円かかるのは見てきましたが、入居一時金とは何の事でしょう。

これは、施設を利用する権利を入手するためのもので、考え方としては「何年分かをまとめて前払いする家賃」です。毎月の家賃相当額や管理費等について、その全部又は一部を前払金として一括して支払うものです。

入居一時金が0円という老人ホームがあります。その場合一時金がない分、毎月の利用料の額が大きくなります。

下記がイメージです。

入居一時金がない場合
入居一時金がある場合

一つのホームで、前払い金なしタイプ、前払い金ありタイプと選択できるところが多いです。
以下は料金の違いの例です。

< A 介護付有料老人ホーム (神奈川県)の費用例 >

前払金0円プラン/個室
入居費用月額費用
0円22.2万円
前払金プラン/個室
入居費用月額費用
300万円17.2万円
「償還期間」と「償還」
入居一時金とは、「何年分かをまとめて前払いする家賃」のようなものと解説しましたが、想定入居年数を定めていてそれを「償還期間」といいます。

では、償還期間内に退居する、亡くなってしまうといった場合、おかねは戻ってくるのでしょうか。

返還金制度」というものがあります。償却期間内に施設を退居した場合は、払い過ぎている分が返還されるようになっています。

気をつけなければいけないのが「初期償却」です。これは、初期費用として一部が充てられるものです。
初期費用分は戻ってきません

下記の表でいえば初期償却 100万円」は戻ってきません
例えば3年目で退去すると160万円が戻ってきます。

入居一時金500万円
初期償却20% 100万円
償却期間5年
500万円 – 100万円 = 400万円
400万円 ÷ 5 = 80万円(1年間で80万円償却)
入居1年目400万円 – 80万円 = 320万円
入居2年目320万円 – 80万円 = 240万円
入居3年目240万円 – 80万円 = 160万円
入居4年目160万円 – 80万円 = 80万円
入居5年目80万円 – 80万円 = 0円

入居一時金を支払って入居したにもかかわらず、すぐに退居したくなった場合、また病状の悪化などで退居せざるを得なくなった場合はどうでしょうか?
初期償却をひかれ、年あるいは月単位で家賃を償却されてしまうのでしょうか?

実は90日の間であれば、クーリングオフを使うことができ、入居一時金が戻ってきます。

クーリングオフ
入居日からカウントして90日以内の退居の場合、基本的には日割りで計算した家賃分を差し引いた残りの入居一時金を全額返還してもらえます。
また、利用者が死亡し退居となった場合にも同様に適用されます。

90日以内ならクーリングオフも可能です。自分にはこのホームはあわないな…と思ったら、即断する勇気も必要です。

有料老人ホームへの入居は、「終の棲家」の購入に等しいことです。マイホームを購入するのと同様に、しっかり調べて後悔のない入居が実現できるといいですね。

介護費用に関する税務や制度の知識をつける

おかねの準備をしておくことを解説しましたが、あなた自身が介護にかかわる税の制度の知識をもつことも必要です。

知らないと知っているでは、お金の面でかなり違ってくるからです。

下記の記事では介護の費用を抑える方法を詳しく解説しています。
参考にしてみてください。

認知症になると家を売ることができなくなる。
銀行でお金をおろせなくなるという事があります。
任意後見をしておくという方法もあります。

まとめ

老人ホームの種類と役割、費用を解説してきました。
なによりも大事なことは、ずばり「おかね」です。

収入(年金額)と資産を把握し、計画をたて、無理のない老人ホームをさがしたいものです。

相談先は、ケアマネージャーや地域包括支援センターですが、おかねに関することは、一度、FP
(ファイナンシャルプランナー)へ相談するのもいいでしょう。

あなたにあった、あるいはあなたの親にあった、老人ホームへ入居して、すてきな老後を過ごして
くださいね。

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