介護保険制度とは?利用条件と申請方法を介護経験有のFPが徹底解説
親と話していて、あれ?この話さっきも聞いた・・・
あんなにおしゃれだった母親が最近同じ服ばかり着ている・・・
それは認知症の始まりです。
そうなってしまったらどうすればいいんでしょう。これからお金はたくさんかかるのか・・・
わが国では「介護保険制度」が2000年に創設されました。
家族の負担を軽減し介護を社会全体で支えよう。
介護する人・される人、双方が安心して生活できる社会を目指してつくられました。
この記事では、
介護保険制度はどうなったら利用できるか?
介護保険制度では何ができるの?
などわかりやすく解説していきます。
最後まで読んでみてください。
介護保険制度を利用するための条件とは
親の介護が心配になってきた・・・
自分がもし若いうちに介護状態になったらどうしよう・・・
介護保険はどのような条件で利用ができるのでしょうか。以下解説しましょう。
介護保険を利用するための条件としては、
・「介護保険の被保険者である」こと、
・「要介護認定調査を受け、『要支援1~2』または『要介護1~5』と認定されている」こと
の2つがあります。
わかりやすく説明すると介護保険料を払っている人で(40歳以上)、介護認定を受けてれば介護保険を利用することができるということです。
介護認定を受けなくては介護保険を利用することができないんですね。
(介護認定をうけるための申請の仕方は後述します。)
上の説明で“介護保険料を払っている人で(40歳以上)”と述べましたが、公的介護保険のサービスを利用できるのは基本的には65歳からと思ってください。
年齢によって以下のような区分にわかれています。
<介護保険年齢別区分>
65歳~ ・・・ 第1号被保険者
40歳~64歳 ・・・ 第2号被保険者
39歳以下 ・・・ 利用不可
☞第1号被保険者は…
要介護状態になった原因が何であろうと公的介護保険のサービスを受けることができます。
☞第2号被保険者は…
関節リウマチや初老期における認知症など、老化に起因する※特定の病気(16疾患)によって要支援・要介護状態になった場合に限り、介護サービスを受けることができます。
(要支援・要介護は後述します)
【出典】 厚生労働省|介護保険制度について
★40歳~64歳は・・・
老化に起因する特定の病気(16疾患)による要支援・要介護状態になった場合なのですね。
交通事故で介護状態になっても65歳未満は介護保険の適用になりません。誤解しないでくださいね。
(65歳以上でも交通事故などは加害者である第三者が負担することが基本で、市区町村が一時的に立て替えた あとで加害者へ請求することになります)
介護保険を利用するとはどういうことか
1章で介護保険を利用するための条件を説明しました。
では、介護保険を利用するとはどういうことなのでしょうか。
詳しくお話していきましょう。
介護保険制度を使うと介護サービスを1割負担で利用できる
介護保険制度を利用するというのは、介護認定を受けたら、国からお金がもらえる!という事ではありません。
保険という名前が付くので、生命保険みたいにお金がもらえると勘違いしている人がけっこう多いです。
介護保険制度を利用するという事は、介護サービスを利用したら利用額の1割負担で済むという事なのです。
介護サービスとは、詳しくは後述しますが、デイサービスやショートステイなどを利用することです。
本来かかる費用の1割(所得によっては2割~3割)の自己負担でうけられます。
ご利用できる主な介護サービスについて
(詳しくは、お住まいの市区町村や地域包括支援センターにお問い合わせください)【出典】厚生労働省|介護保険制度について
健康保険のようなものと思ってくれればわかりやすです。
健康保険は、かかった費用の3割(年齢・所得で違う)の自己負担を病院へ支払いますね。
介護保険でどんなサービスがうけられるか
では、具体的にどのようなサービスがあるのでしょうか。
まずは大きく分けて下記の8つです。
①相談・ケアプラン作成
②自宅で利用するサービス(訪問)
③施設に通う
④短期間の宿泊
⑤施設等で生活
⑥地域密着型サービス(小規模な施設)
⑦訪問・通い・宿泊を組み合わせ
⑧福祉用具の利用
下記表にしてみました。
介護を自宅で行っている家族がお正月など泊りで出かけたい時など、ショートステイを利用したり、ホームヘルパーが来てくれている間に自分の用事を済ませることができますね。
※福祉用具とは 介護ベッドや車いす、てすり、床ずれ防止用具などのこと。 |
介護保険制度とは、下記のようなサービスを受けることができ、かかる費用の1割の自己負担で利用ができるというものです。
介護サービスを利用するには申請と認定が必要
介護保険を利用したい!となったら、まずは市役所や区役所、あるいは町・村役場に届けを出す必要があります。
介護に関する困りごとに対しては、「地域包括支援センター※1」が最初の相談窓口としての役割を担っています。
※1 地域包括支援センター 介護保険法で定められた、地域住民の保健・福祉・医療の向上、虐待防止、介護予防マネジメントなどを総合的に行う機関である。各区市町村に設置される。2005年の介護保険法改正で制定された。センターには、保健師、主任ケアマネージャー、社会福祉士が置かれ、専門性を生かして相互連携しながら業務にあたる。 |
住まいの地域を担当する地域包括支援センターを探してみると良いでしょう。
(Google等の検索エンジンで『地域包括支援センター ◯◯(お住まいの地域)』で検索してみてください。)
介護サービスを受けるためには「要介護(支援)認定」を受けなくてはなりません。
<介護申請と認定までの流れ>
(1) 介護認定の申請
「地域包括支援センター」や市役所や区役所、町・村役場の介護保険課へ介護認定の申請をします
(2)訪問調査
市区町村の職員や、市区町村から委託されたケアマネジャーなどが自宅を訪問し、申請をした本人の心身の状態や、日常生活、家族や住まいの環境などについて聞き取りをします。調査内容は全国共通です。
(3)主治医意見書
市区町村の依頼によりかかりつけ医が意見書を作成します。かかりつけ医がいない場合は、市区町村が紹介する医師の診断を受けることになります。
(4)一次判定(コンピュータ)
訪問調査の結果とかかりつけ医の意見書の一部の項目をコンピュータ入力し、一次判定を行います。
全国共通のコンピューターソフトにより行われます。
(5)二次判定(介護認定審査会)
一次判定やかかりつけ医の意見書、認定調査における特記事項を基に、保険、医療、福祉の専門家が審査します。
<診査判定事項及び意見>
① 要介護(支援)状態にあたるかどうか
② 要介護度(7段階)のいずれにあたるか
③ 65歳未満の場合は「特定疾病」にあたるどうか
④ 認定有効期間に関する意見など
(6)結果
介護認定審査会の審査結果に基づいて、要介護度が認定され通知されます。
通常、介護認定申請から結果通知まで30日程度要します。
介護認定の区分と区分変更
3章では介護保険の申請と認定について解説しました。
要介護度が決まるわけですが、要支援1~要介護5まで区分が決まります。
途中で状態が悪化した場合の区分変更申請についてお話ししましょう。
介護認定の区分とは
介護認定の区分にによって、利用できるサービスや利用できる上限金額が違います。
では区分とはなんでしょう。以下は状態の区分です
介護認定がでたら、自治体から地域で活動しているケアマネ―ジャーのリストをもらえます。自宅との距離も考えて、ケアマネージャーを選びます。
その後、ケアマネージャーが本人や家族の希望をききながら「ケアプラン」を作成します。それに基づいてサービスが開始されます。
区分変更の申請
まず、介護認定の次回の更新までの有効期間をみてみましょう。
厚生労働省令で定める期間内において有効(法第28条第1項)
※ 厚生労働省令で定める期間(1) 要介護、要支援(新規)認定の有効期間:6ヶ月(市町村が必要と認める場合にあっては、3ヶ月から12ヶ月の間で月を単位として市町村が定める期間)
(2) 要介護更新認定の有効期間:12ヶ月(市町村が必要と認める場合にあっては、3ヶ月から36ヶ月の間で月を単位として市町村が定める期間)
(3) 要支援更新認定の有効期間:12ヶ月(市町村が必要と認める場合にあっては、3ヶ月から36ヶ月の間で月を単位として市町村が定める期間)“
☞新規の場合は6か月が期間ですが、市区町村によっては12か月までとなっています。
☞更新時期に関しては12か月ですが、市区町村によって26か月までとなっています。
では、途中で症状が悪化した場合や、途中で介護区分を変更したい場合はどうすればいいのでしょうか。
次の更新をまたずに「区分変更申請」をすることができます。
<市区町村への申請の仕方>
申請の手続きは、原則として本人、親族が行います。また、長寿サポートセンターや、ご本人が契約等している居宅介護支援事業者・指定介護老人福祉施設・介護老人保健施設・指定介護療養型医療施設・介護医療院が申請を提出代行することができます。
受けられる介護サービスもかわってきますから、ケアマネージャーへ先に相談した方がいいでしょう。
介護になる前に今からお金を準備しよう
健康だったらお金がかからなったのに、介護状態になったらなにかしらお金が必要です。
以下は介護費用のデータです。
●一時的な介護費用(住宅改修、介護用品等) → 平均80万●毎月の介護費用 → 平均7,9万円(年間94.8万円) ということは介護になったら(介護期間10年) データ参照:公益社団法人生命保険文化センター|生命保険に関する全国実態調査」平成27年度 |
そのために、老後資金プラス、介護資金として、今からお金を準備しておきましょう。
お金を準備する方法の一つに、民間の生命保険があります。
介護状態になったら死亡保障のように保険金がもらえるものや、お給料の代わりのように、毎月お金がもらえるというものがあります。
簡単ですが、紹介しましょう。
・終身保険(死亡保障/高度障害保障/介護保障)
契約時に保障額を決めて加入し、介護状態(要介護2など)になったら、保証額が支払われる
掛け捨てではなく、貯蓄タイプ。外貨建てなどがある
・収入保障(介護保障特約)
働けなくなったら、または介護状態、身体障害状態になったら契約した金額が支払われる
お給料のように、毎月契約した金額が支払われる(契約時に決めた期間)
・医療保険(介護一時金特約)
介護状態になったら、契約時に決めた介護一時金が支給される。
基本的には医療保険。特約で付けられる
まとめ
1章では介護保険を利用する条件を解説しました。
実際にその立場になってみないと、普段はあまり意識することはない介護保険制度ですが、いざそうなったら焦らないように、この記事が役に立てば幸いです
自分自身もそうですが、親の介護も避けては通れません。
2章ではいろいろなサービスがありました。
介護保険制度をきちんと理解してその時は介護保険制度を利用してください。
第3者の力をかりてみんなが幸せな老後を過ごしたいものです。
そのためにも、今から老後に備えて、お金に関して準備しておくことが必要です。