
NISA、ジュニアNISA、つみたてNISA・・・
NISAの上限っていくらだろう?
自分に合ったNISAはどれなんだろう?
NISAに興味のある方であれば、一度は悩んだことがあるのではないでしょうか?
NISAは投資で得た利益に税金がかからない制度であり、この点は3種類のNISA共通事項です。
では、違いは何でしょうか?
大きな違いは、「年間の投資上限金額」と「最大投資できる上限金額」です。
この上限金額をしっかり理解することで、ご自分の投資目的に合ったNISAを選ぶことができます。
この記事では、3種類のNISAの「年間の投資上限金額」と「最大投資できる上限金額」を比較し、各NISAにオススメな人についても解説します。
最後まで読んでいただければ、自分に合ったNISAを選ぶことができます。
是非、最後まで読んでみてくださいね。
「年間の投資上限金額」のことをNISA特有の用語で「非課税投資枠」や「非課税枠」と言い、「最大投資できる上限金額」の事を「最大投資総額」と言います。
※この記事は、新NISAの開始・ジュニアNISA終了による制度改正に伴い、再編集しています(2020年8月)
1. 3種類のNISA上限比較
NISA(NISA・ジュニアNISA・つみたてNISA)は、投資で得た利益が非課税になる制度です。
ただし、非課税投資枠(非課税となる投資金額の上限)と最大投資総額(最大投資できる上限金額)が各制度で違いがあります。
1-1 年間非課税投資枠が一番大きいのはNISA
3つの制度の中で、非課税投資枠(年間投資できる上限金額)が最も大きいのはNISAです。
- NISA・・・年間120万円
- ジュニアNISA・・・年間80万円
- つみたてNISA・・・年間40万円
この非課税投資枠は、新規で商品が購入できる年間の上限金額なので必ず使い切る必要はありません。
1-2 非課税投資総額が一番大きいのはつみたてNISA
3つの制度の中で、非課税投資総額(最大投資できる上限金額)が一番大きいのはつみたてNISAです。
- NISA・・・最大600万円(120万円 × ※非課税期間5年間)
- ジュニアNISA・・・最大400万円(80万円×非課税期間5年間)
- つみたてNISA・・・最大800万円(40万円×非課税期間20年間)
※新NISAにロールオーバーすることで実質10年間の非課税期間となります。詳しくは3-2で。
非課税投資総額とは、毎年非課税枠を満額まで使用した場合に最大で運用できる金額です。
つまり、「同時に持てる非課税枠の総額」「同時に運用できる金額の総額」です。
下図は、NISAの非課税投資総額のイメージです。
2. NISAを選ぶ時のポイント
2-1 投資資金はいくらある?~一括投資or積立投資~
資産運用を始める際「一括投資」か「積立投資」を選ぶ必要があります。
NISAで資産運用をする場合、投資資金のある方は「一括投資」を、投資資金のない方は「積立投資」を選ぶと良いでしょう。
ここでの投資資金の定義は、①生活費に充当する可能性がないお金②5~10年くらい使う予定のないお金とします。
NISAの最大のメリットは投資で得た利益が非課税になる事です。
このメリットを最大限活かすためには「一括投資」が向いていますので、投資資金のある方は「一括投資」を選びましょう。
2-2 投資期間を決める~目的達成のゴールは何年後?~
資産運用の目的を明確にすると、目的達成までに必要な期間、つまり投資期間が決まります。
例えば、0歳のお子様の大学進学費用が目的の方は18年間が投資期間になりますね。
NISAは非課税で運用できる期間がそれぞれ違うので、ゴールが決まらないと自分にあったNISAを選ぶことが難しくなります。
<参考記事>
初心者必見!資産運用を始める方法から基礎知識までをFPが徹底解説
2-3 目的達成のための手段を決める~インデックス型orアクティブ型~
予算、目的、期間が決まれば最後は、ゴールを達成するための手段を選びます。
つまり商品選択です。
NISAで購入できる商品は主に「上場株式」と「投資信託」になります。
そして、この投資信託は「インデックス型投資信託」と「アクティブ型投資信託」2種類に分けられます。
NISAを始める前に、「どの会社の株を買うか」「どの投資信託を買うか」といった銘柄選択まではしなくてもいいですが、「株式」「インデックス型投資信託」「アクティブ型投資信託」の中で、どの商品を購入するのかは決めておきましょう。
なぜなら、NISAの種類によって選べる商品が違うからです。
■インデックス型投資信託とは 例えば、日本の株式投資信託ではTOPIX(東証株価指数)や日経平均株価がベンチマークに使われることが多いです。 ちなみに、TOPIXとは東証一部の全銘柄の時価総額を足したものをある基準値で割った値です。東証一部銘柄とは日本株の代表的存在ですから、インデックス型の日本株式投資信託は日本全体に投資しているようなものと言えます。
■アクティブ型投資信託とは 例えば、TOPIXを上回る成績を上げるため、ファンドマネージャーは個別に分析を行い、投資信託に組み入れる株の銘柄を選定します。 ただし、アクティブ型投資信託の中には、運用成績がインデックス型投資信託より悪いものもあるので要注意です。 アクティブ型投資信託を選ぶ時は、過去の実績を見て長期のリターンが高い投資信託を選びましょう。10年以上長期的に利益を上げている投資信託が望ましいです。 実績の見方がわからない方や投資信託選びに自信がない方は、プロ(IFA※)に相談する事をお勧めします。 |
IFA(Independent Financial Advisorインディペンデント・ファイナンシャルアドバイザー)とは
資産運用のアドバイザーの事を言い、日本語では「独立系金融アドバイザー」と呼ばれています。
IFAは証券会社と個人投資家の間に入り、口座開設、商品の購入までプロとして相談業務、仲介業務を行います。つまり、NISAの口座開設から運用商品の選定までを独立・中立的な立場でアドバイスをすることができます。
<参考記事>
投資信託の種類がわかる!初心者が知るべき基本の3分類と調べ方
3. あなたにぴったりなNISA制度の選び方
現在の制度では、NISAとつみたてNISA両方で投資するということはできないので、どちらか選ばなければなりません。
教育資金を積立で貯めたい方の中には、ジュニアNISAとつみたてNISAで迷っているという方もいるかもしれません。
ここからは、各NISA制度に向いている方を説明していきますので、自分にあったNISAを見つけていきましょう。
3-1 つみたてNISAに向いている方
つみたてNISAに適している方は、
「投資資金がない」「投資期間が20年以上の超長期」「インデックス型投資信託を購入したい」
上記3つに全て該当した方のみです。
つみたてNISAの特徴 |
|
投資方法 |
積立投資のみ |
非課税期間 |
最長20年 |
購入できる商品 |
|
つみたてNISAは非課税で運用できる期間は一番長いですが、購入できる商品や投資方法が限定されているので、適する方も限定的になります。
そもそも、NISAは投資で得た利益に税金がかからないことがメリットですので、積極的に利益が出る運用を目指したほうが良いのです。
ということは、投資方法は積立投資よりも一括投資のほうが良いですし、インデックス型投資信託よりもアクティブ型投資信託のほうが積極運用を目指せます。
<参考記事>
つみたてNISAは30代投資初心者にお勧め!運用・始め方徹底解説
3-2 NISAに向いている方
NISAに向いている方は、「つみたてNISAに向いている方以外」です。
NISAの特徴 |
|
投資方法 |
一括投資・積立投資 両方可能 |
非課税期間 |
最長5年(ロールオーバーで実質10年) |
購入できる商品 |
上場株式 |
NISAはつみたてNISAに比べると自由度が高いです。
より非課税メリットを活かせる一括投資や積極運用のアクティブ型投資信託も選ぶことができます。
また、ロールオーバーの手続きをするとNISAの非課税期間は5年から実質10年に延びます。
そして、このロールオーバーができるのは2018年の購入分が最後ですので、NISAに向いている方は是非、今年から始めることをオススメします。(新NISAが始まることにより、ロールオーバーのルールが変更されています。)
※2020年8月追記 2024年から新NISA制度が始まります。このことにより、2019年~2023年の購入分までロールオーバーが可能となりました。 新NISAへロールオーバーすることで、実質10年間非課税での運用が可能になりますので、早く始めることをおすすめします。新NISAのロールオーバーについては以下の記事を参照ください。 関連記事 |
ロールオーバーについて、詳しくは4章で説明します。
3-3 ジュニアNISAに向いている方
20歳未満のお子様がいる方はジュニアNISAを活用しましょう。
ジュニアNISAの特徴 |
|
投資方法 |
一括投資・積立投資 両方可能 |
非課税期間 |
最長5年(継続管理勘定で実質20歳まで) |
購入できる商品 |
上場株式 |
払い出し制限 |
18歳まで払い出し制限あり(注:2023年末までのルール) ※ジュニアNISAは2023年12月31日の終了に伴い、2024年1月1日から払い出し制限が解除され、年齢に関わらずいつでも払い出しが可能になります。(2020年8月追記) |
ジュニアNISAは、「継続管理勘定」を利用すると非課税で運用できる期間を最長20年まで伸ばすことができます。これが、他のNISAよりも優れている点です。
継続管理勘定については4章で説明します。
20年間非課税というと「つみたてNISAと同じ非課税期間なら、払い出し制限のないつみたてNISAのほうが良い」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、ジュニアNISAはつみたてNISAよりも年間の投資上限金額が高く、一括投資も可能、さらに積極運用を目指す「アクティブ型投資信託」を購入することもできます。
NISAの非課税メリットを活かす運用ができるのはジュニアNISAのほうだと言えるでしょう。
特に10歳以下のお子様やお孫様がいらっしゃる方は、ジュニアNISAで投資を始めてみましょう。
■ジュニアNISAの払い出し制限とは NISAとつみたてNISAはいつでも投資資金を引き出すことができます。 |
<参考記事>
ジュニアNISA3つのメリット!今始めるべき理由と詳しい始め方
4. ロールオーバーの上限撤廃で非課税のまま長期で運用できる金額が増えた!
2017年の制度改正により、ロールオーバーの上限金額が撤廃され非課税で運用できる金額が増えました。
当初、ロールオーバーは、翌年の非課税投資枠の範囲までに限定されていました。(NISAは120万円・ジュニアNISAは80万円)
そのため、下図のように、100万円→150万円になった場合は、ロールオーバーは120万円分しかできず、残りの30万円分は、売却して現金を受け取るか、課税口座に移して運用を続けるしかありませんでした。
しかし、制度改正後は、150万円全額がロールオーバー可となり、非課税のまま運用できる金額が増えました。
■ロールオーバーとは 非課税期間終了時に保有している金融商品を翌年の非課税投資枠に移すことです。 |
つまり、ロールオーバーをすることで、さらにNISAの非課税メリットを活かせるということです。
ロールオーバー可能な間は、是非活用しましょう。
続いて、ロールオーバーすることでどれくらいの期間非課税で運用できるのかお話します。
4-1 NISAはロールオーバーすることで実質10年非課税で運用できる
NISAはロールオーバーすることで、10年間非課税で運用ができます。
ロールオーバーとは、前述の通り非課税期間終了時に保有している投資信託等を翌年の非課税投資枠に移すことを言います。
※2020年8月追記 2024年の新NISA開始に伴い、ロールオーバーのルールが変更となります。詳しくは以下の記事をご覧ください。 関連記事 |
下図のように2018年に購入した商品は2022年で非課税で運用できる期間が終わりますが、2023年の非課税投資枠に移す(ロールオーバーする)ことで、さらに5年間非課税で運用ができます。
実質、10年間非課税で運用ができることになりますね。
<NISAロールオーバーイメージ図>
図からもわかるように、非課税期間終了時の翌年に非課税投資枠が存在しないとロールオーバーができません。
NISAは2023年までの制度ですので、2024年に非課税投資枠はありませんね。
つまり、2018年購入分がロールオーバーできる最後の年になるということです。
4-2 ジュニアNISAは最長で20年間非課税で運用できる
ジュニアNISAもロールオーバーが可能です。
しかし、ジュニアNISAには18歳まで資金を引き出せないという「払い出し制限」があるため、NISAとは取り扱いが少し異なります。(注:2023年3月末までのルールとなりました。)
(上述していますが、ジュニアNISAは2023年12月31日の終了に伴い、2024年1月1日から払い出し制限が解除され、年齢に関わらずいつでも払い出しが可能になります。)
ジュニアNISAは制度終了後の2024年から「継続管理勘定」という非課税で運用するだけの口座が作られます。
制度終了後(2023年で制度終了)に非課税期間が満了する資金については「継続管理勘定」に移すことができます。
この「継続管理勘定」はお子様が20歳になるまで作られるので、0歳からジュニアNISAを始めたお子様は最長20年間、非課税で運用ができるということです。
10歳以下のお子様やお孫様がいらっしゃる方は、是非ジュニアNISAを活用しましょう。
<参考記事>
ジュニアNISAロールオーバーを理解して資金を増やしてハッピーに
4-3 つみたてNISAはロールオーバーできない
つみたてNISAは、ロールオーバーという仕組みがそもそもありません。
なぜなら、つみたてNISAは2037年までの制度ですので、制度スタート時の2018年購入分をロールオーバーするための2038年の非課税投資枠がないからです。
5. まとめ
ご自分にあったNISAは見つかりましたか?
どれも自分のニーズにぴったり当てはまらないという方もいらっしゃると思います。
NISAは資産運用にかかる税金が有利になる税金優遇制度のうちの1つであり、他の税金優遇制度や商品を利用した方が良いケースも勿論あります。
またNISAは、どのNISA制度を使うかも重要ですが、その先の商品選びも運用を成功させるためには大切なポイントです。
NISA以外の税金優遇制度も含めて自分にあった制度を知りたい方、NISAの商品選びに自信のない方は、ファイナンシャルプランナーやIFAなどのプロに相談することをオススメします。
いきなり相談することに抵抗のある方は、ファイナンシャルプランナーやIFAが主催しているマネーセミナーに参加してみるのも良いでしょう。
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