NISA非課税期間終了後の選択肢は3つ!シーン別に選び方を解説

2014年からスタートしたNISA。
既に始めている方も、これから始める方も「NISAの非課税期間は5年間」という特徴はご存知の方も多いと思います。
NISAの「5年目」を迎えた方は、非課税期間終了後の対応を気にされる方も多くいらっしゃるのでは?
また、最近始められた方はそもそも「非課税期間」という言葉がピンときていない方もいると思います。
この記事では、自分が選ぶべき5年目の選択肢がわかるように、非課税期間の意味だけでなく、非課税期間終了後の選択肢からNISAで買うべき商品までをわかりやすく解説していきます。
※この記事は、新NISAの開始・ジュニアNISA終了による制度改正に伴い、再編集しています(2020年8月)
NISAの非課税期間とは
NISAの「非課税期間」とは、税金がかからずに運用できる期間のこと
非課税とは「税金がかからない」という意味です。
つまり、非課税期間とは税金がかからずに運用できる期間のことをいいます。
「投資可能期間」と間違えやすいので注意しましょう。
通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当金に対して20.315%の税金がかかります。
しかし、NISA口座(非課税口座)内で購入した金融商品から発生した利益に対しては税金がかかりません。
非課税で運用ができるのは、投資をする方にとっては大きなメリットですね。
ただし非課税期間は無期限ではありませんので注意しましょう。
投資可能期間とは
投資可能期間とは、NISA対象の商品を購入できる期間のことです。
“現行”NISAの投資可能期間は2014年~2023年までとなっています。
計6回非課税投資枠を使って新規購入ができます。
NISAの非課税期間は最長5年
NISAの非課税期間は5年間です。
5年の数え方ですが、投資した年(商品を購入した年)から数えて5年目の年末です。
その年の1月に投資する場合も、同じ年の12月に投資する場合も、非課税期間の終了時期は同じになります。
例えば、2014年にNISA口座で投資信託を購入した場合、2018年12月末に非課税期間が終わるということです。
また、非課税期間は商品を購入した年から5年なので、2014年に口座を開設して2015年に投資信託を購入した場合の非課税期間の終了時期は2019年12月末になります。
ロールオーバーをするとNISAの非課税期間は10年に延長
ロールオーバーとは、NISA口座で購入した金融商品を非課税期間が終了した翌年の非課税枠に移すことを言います。
5年の非課税期間終了後、ロールオーバーを選択すると非課税で運用できる期間が10年になります。
ロールオーバーについては2章でも説明します。
ロールオーバーは非課税枠を使用することになるので注意が必要です。
例えば、ある年に購入した投資信託が年月を経て時価120万円となったとします。そこでロールオーバーを選択すると、翌年の非課税枠を使用することになります。すると、その年はNISA口座で新しく商品を購入することができなくなります。
詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
NISAの非課税期間終了後はどうする??
NISAの非課税期間終了後の選択肢は3つあります。
終了後の選択肢 | オススメな人 | 手続き方法 |
ロールオーバーする | 非課税で資産運用を続けたい人 | 非課税口座内上場株式等移管依頼書(ロールオーバー依頼書)を提出します。詳しくは、NISA口座のある金融機関へ。 |
非課税期間満了前に売却 | 現金が必要な人、つみたてNISAに制度変更したい人 | 5年後の年末を迎える前に通常の売却手続き |
ロールオーバーしない (課税口座に移管) |
資産運用は続けたいが、翌年のNISA枠では別の商品を新しく購入したい人 | 何もしなければ自動的に適用される |
ロールオーバーする
想定されるシチュエーション
非課税期間終了後の金額が非課税枠の上限120万円を超えていても全額ロールオーバー可能になりました。(2017年税制改正)
資産運用を続けたい方は、是非ロールオーバーを活用しましょう。
ただし、ロールオーバーは非課税期間終了後の翌年の非課税枠を使って再び5年間の非課税運用をします。
翌年は別の商品をNISAで購入したい方は、ロールオーバーをせずに課税口座(※1)に移しましょう。
ロールオーバーをするためには手続きが必要です。非課税口座内上場株式等移管依頼書(ロールオーバー依頼書)を提出しましょう。HPからの申し込みができる場合もあります。詳しくはNISA口座のある金融機関へ問い合わせてみましょう。
課税口座とは
売却益や分配金などの利益に対して20.315%の税金がかかる口座です。
満了前に売却
想定されるシチュエーション
現金が必要な方や、つみたてNISAに制度変更をしたい方は売却をしましょう。
NISA口座では、含み益(※2)が出ている状態で売却した場合、利益に対して税金が引かれずに手元に売却代金が残ります。
以下の図は、課税口座で購入した場合との比較イメージです。
<NISA口座で投資信託を購入した場合>
<課税口座で投資信託を購入した場合>
税金が引かれない分、NISA口座のほうが手元に残る金額が多くなりますね。
反対に、含み損(※2)が出ている状態で売却した場合はどうでしょうか。利益が出ていないので引かれる税金はありません。NISA口座であっても課税口座であっても、手元に残る金額は同じです。
※課税口座で購入していても、利益がないので手取りは同じです。
ただし、損が出た状態で売却しても、NISA口座では「損益通算(※3)」ができませんので注意しましょう。(課税口座は損益通算ができます)
※2 含み益・含み損とは
含み益は、確定しない利益のことで、現在の価格(時価)が購入時の価格よりも高い場合に、その差額のことをいいます。
反対に、含み損は確定していない損失のことで、現在の価格(時価)が購入時の価格よりも低い場合に、その差額のことをいいます。
これは、利益確定していない状態での見込みの利益額と損失額のため、実際に売却するまでは金額が確定しません。
例えば、100万円分の株式を購入していて、現在の時価で売却すると110万円になる場合、10万円の含み益があるといいます。反対に、現在の時価で売却すると90万円になる場合、10万円の含み損があるといいます。
※3 損益通算とは
一定期間内の利益と損失を相殺することです。
利益が+50万円のA投資信託と損失が-30万円のB投資信託を売却すると、A投資信託の分で10万円の税金が引かれます。(B投資信託は利益がないので税金は0円)
これを確定申告で、損益通算することによりAとB、2つの投資信託の利益と損失が合算され、トータルの利益は+20万円(-30万円+50万円)とみなされます。
結果的に、払う税金が4万円になります。
ロールオーバーしない(課税口座に移管)
想定されるシチュエーション
例えば、2014年のNISA非課税枠を使用して購入した投資信託を売却したくはないが運用を続けたい。
でも2019年購入分は別の投資信託を買いたい場合などがこの選択肢に当てはまります。
2-1でも説明したように、2014年購入分の投資信託をロールオーバーしてしまうと2019年の非課税枠を使用するため、新しく商品を購入することができなくなるからです(時価が120万円を超えている場合)。
NISA制度がよくわからずにNISAに不向きな商品を買ってしまった方はこの選択肢を選ぶといいでしょう。
以上が、非課税期間終了後の選択肢です。非課税期間終了後の手続きについては以下の記事に詳しく載っていますので参考にしてください。
NISAの非課税期間を最大限に活かすためには世界株式に投資する投資信託がお勧め!
NISAの非課税メリットを最大限活かすために、株式中心で積極運用をしましょう。
具体的には、「世界株式に投資する投資信託」がよいでしょう。
下図のように、先進国の株式は長期的には右肩上がりとなりますし、10年の投資期間があれば変動も吸収できると考えます。
(出典:MSCI)※
NISAのメリットは利益に対して税金がかからない点です。
このメリットを活かすためにも、積極的な運用をオススメします。
※ MSCI ワールド指数
MSCI ワールド指数は、日本を含む主要国の株式を対象とする指数です。
MSCIワールド指数は、先進国23カ国に上場する大・中型株を対象にしており、2015年5月末現在、1,631銘柄で構成されています。
先進国の株式市場の動向を知るために最も利用されている株価指数の一つです。
まとめ
いかがでしょうか。
NISAは資産運用の利益が出てはじめてメリットが生まれる制度です。
しかし、非課税期間は5年と決まっているので商品選択が重要になってきます。
商品の選び方がわからない方はセミナーで勉強したり、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することをオススメします。
投資可能期間とは