NISAの年間投資可能枠は120万円!賢く非課税枠を使い切る方法


NISA口座を開設してみたものの、いくらまで非課税で投資ができるのかわかりません。賢くNISA制度を活用するにはどうしたらよいでしょうか。
NISAの非課税投資枠は簡単に説明すると、”年間120万円”、”最大600万円”です。まだ少しわかりにくいですよね。NISAの仕組みや投資方法について詳しく解説していきますね。

NISAを始める上で、理解しておきたいものの一つが「非課税投資枠」です。この「非課税投資枠」について理解できるとNISAをもっと上手に活用できます。
反対に、理解していないと思わぬ損失を招いてしまうことも・・・。
この記事ではNISAの「非課税投資枠」のポイントや注意点を解説していきます。また、NISAでの投資信託の買い方別のメリット・デメリットから商品選びについても説明していきます。
この記事で分かること!
- 非課税投資枠は年間120万円、最大で600万円
- 非課税投資枠を活用するために知っておくべき基本ルール
- NISAの投資可能枠を賢く使うためのアドバイス【一括投資と積立投資】
- 非課税投資枠はすべて使い切ったほうが良い理由
- 非課税投資枠を最大限使い切るための注意点
NISAの非課税投資可能枠は年間120万円、最大で600万円
年間の非課税投資枠は120万円
NISAは「NISA口座(非課税口座)」内で毎年(1月1日~12月31日)120万円の範囲内で、株式や投資信託等を購入すると、最長で5年間、その間に受け取る利益に対して税金がかからない(非課税)制度です。
この年間120万円の枠のことを「非課税投資枠」といい、令和5年(2023年)まで毎年新しい枠がもらえます。
金融機関によっては、「非課税枠」「投資可能枠」という言い方もしていますが、意味は同じです。
非課税投資枠、総額は最大で600万円
NISAの非課税投資総額は最大で600万円です。
NISA口座に新規で投資できるのは平成26年(2014年)から令和5年(2023年)の10年間です。
この10年間の中で以下のことができます。
- NISA口座では毎年1つの非課税投資枠(上限120万円まで)がもらえる
- 非課税投資枠は最大5つまで持てる

NISA口座に新規で投資できるのは10年ですが、年間120万円×10年=1200万円ではありません。
新規で投資できる10年の期間の間に最長5年間非課税で運用することができます。
非課税投資枠を活用するために知っておくべき基本ルール
毎年の非課税投資枠は翌年に繰り越せない
NISAの毎年の非課税枠(120万円)は翌年に繰り越せません。
例えば、2022年に100万円を投資し、20万円分の枠が余りました。翌年に140万円の投資ができるかというと、それはできません。
2022年に残った20万円の枠を翌年に繰り越すことはできず、翌年新たに非課税投資枠(120万円)ができる、ということです。

また、注意が必要なのは、NISA口座で商品を買う場合、非課税投資枠を超えた金額での注文はできません。
例えば、非課税投資枠の残りが120万円なのに、
- A投資信託をNISA口座で140万円分を買う
- 100株単位で取引される、株価が12,000円超えの上場株式を買う(120万円を超える注文)
ということはできません。
投資信託の例だと、NISAで投資できる120万円分だけNISA口座で買われ、20万円分は課税口座※で買い付ける金融機関もあります。
利用した非課税投資枠は再利用できない

NISAの年間非課税投資枠は1度利用すると戻りません。
上記の図のような場合、20万円分の株を売却した分の枠は復活せず、2022年はNISA口座で新たに金融商品を購入することはできません。
残りの投資可能枠の考え方
NISA口座で120万円分を一括購入しなかった場合、年間非課税投資枠120万円からNISA口座での購入金額を差し引いた金額が、その年に買付できる残りの金額になります。
つまり、合計120万円以内であれば買い方は自由です。
以下のような買い方はすべて可能です。
- 120万円分一括購入
- 分割購入(例:最初に50万円分購入し、3か月後に70万円分購入する)
- 毎月一定金額ずつ購入する(毎月最大10万円)
- 金融商品を織り交ぜて購入する(国内株式60万円分+投資信託60万円分
NISAの投資可能枠を賢く使うためのアドバイス
株や投資信託等の金融商品の買い方は、
- まとまった資金で投資する「一括投資」
- 毎月コツコツ買っていく「積立投資」
があります。

ではどちらの買い方が良いのでしょうか?それぞれの買い方のメリットをみていきましょう。
NISAのメリットを活かすなら一括投資がおすすめ
NISAの非課税メリットを最大限生かすのであれば一括投資がおすすめです。
一括投資のメリットとして以下のことが挙げられます。
複利の力をより活かすことができる
複利の運用では、初期投資額が大きければ大きいほうが有利です。また投資期間も長いほうが有利ですし、金利も高いほうが有利になります。
複利は、利息が利息を生み、雪だるま式に増えてくれることが特徴です。

例えば、投資信託を一括購入し5年間運用した場合は、投資したお金が5年間まるまる働いてくれます。
しかし、投資信託を5年間毎月一定額ずつ購入する積立投資をした場合、1年目に購入した分は5年間働いてくれますが、5年目に購入した分はたった1年間しか働いてくれません。
『10年一括投資』と『10年積立投資』の比較
国内・海外の株式と債券に25%ずつ投資する「4資産分散」で、一括投資と積立投資をそれぞれ10年間継続した場合の損益を表したものです。
積立投資は毎月1万円ずつ10年間で計120万円投資、一括投資は最初に120万円投資し、それぞれ10年間で元本120万円がどれぐらい増えたかを比較しています。
出典:日経マネー2016年1月号
上昇局面に強い
価格が安い時に一気に買えるため、価格(株価や基準価額)が右肩上がりの場合は、一般的に一括投資のほうが有利です。
短期で利益を出したり、高いリターンを得られる可能性がある
例えば投資信託の基準価額の上昇率が同じであれば、リターンの大きさは元本の大きさに比例します。
120万円一括投資と毎月1万円の積立投資で、どちらもスタートしてから翌月に基準価額が2倍になったとします。
一括投資の場合は利益が120万円なのに対して積立投資は利益が1万円です。
積立投資の場合、スタートしてから短期間で基準価額が大きく上昇しても、元本がまだ小さいので大きな利益は生じません。一括投資の場合は短期で大きな利益を手にすることも可能です。

もちろん、一括投資にはデメリットもございます。デメリットも把握した上でご自身にあった買い方を決めていきましょう。
一括投資のデメリット
- 投資中の心理的ストレスが大きい
- 突然の下落が発生した場合大きな含み損を抱える可能性がある
一括投資は、積立投資に比べ投資元本が大きいため、価格が大きく下落した場合に含み損※の額もそれに比例して大きくなります。
また、そのようにリスクも大きくなることから心理的ストレスも大きくなりやすいです。
まとまった元本がない人は積立投資がおすすめ

NISAを利用したいけれどあまり資金に余裕がなくて・・・
まとまった元本がない人は積立投資がおすすめです!

積立投資には以下のようなメリットがあります。
小額から投資できる
金融機関によっては毎月100円から投資信託を購入することも可能です。投資資金の少ない人でも毎月の収入の一部で投資を始めることができます。
ドルコスト平均法の効果が得られる
積立投資だとドルコスト平均法※の効果が得られます。
毎月定額を積み立てることにより、結果的に価格(株価や基準価額)が安い時には多く、高い時には少なく購入することになり「購入単価が安くなるだけでなく購入口数が多くなる」、平均購入価額を平準化できます。つまり高値掴みを避けることができます。
投資の時期や購入のタイミングを選ばない
最初の購入価格は投資期間中に持つたくさんのポジションのうちの1つでしかありません。つまり、買うタイミングに悩む必要がないということです。
感情に流されずに投資ができる
積立投資では、その日の価格が高いか安いかにかかわらず、自動引き落としで自動的に買い付けられます。価格を選ぶことはできないので、感情に流されずに投資ができます。

積立投資のデメリットは以下です。
積立投資のデメリット
- 投資資金がある場合は機会損失が発生する
- 短期保有では積立投資のメリットが十分に得られない可能性がある
- 基準価額が上昇し続けている場合、一括購入よりもリターンが少なくなる
積立投資の場合、短期での保有や価格(株価や基準価額)が上昇しているときに購入するとメリットが少なくなってしまいます。
また、投資資金がすでにまとまってある場合は積立投資にすると投資に回していないお金は機会損失となるので一括投資がおすすめです。
非課税投資枠は使い切るのがおすすめ
余裕資金がある人はNISAの非課税投資枠は使い切りましょう。

ただし、資産運用は余裕資金で行うのが鉄則ですよ。
ここでは余裕資金を以下のように定義します。
- 生活資金に充当する可能性や、数年~10年くらいの単位で利用する予定のないお金
- 損をして減ることがあっても困らないお金

先程もお伝えしたようにリターンの大きさは元本に比例するので、運用に回せる資金が潤沢にある方は非課税投資枠を使い切ったほうが良いですね。
反対に、余裕資金の少ない方は、無理にNISAの非課税枠を使い切る必要はありません。
非課税投資枠を最大限使い切るための注意点
「毎月分配型」の投資信託はNISAには向かない
「毎月分散型」の投資信託とは、1か月ごとに決算を行い、その度に分配金を出すものです。この「毎月分散型」の投資信託はNISAに向きません。
なぜなら、分配型投資信託を購入する際に「分配型再投資」コースを選択すると、その分は非課税枠を利用したとカウントされてしまうからです。
そもそも投資信託には、分配金を出すタイプと出さないタイプの2種類があります。
分配金を出すタイプの場合、
- 分配金受取
- 分配金再投資
のどちらかのコースを選択しなければなりません。
分配金受け取りは、運用で発生した分配金を受け取るもので、
分配金再投資は、発生した分配金を元手として新たに同じ投資信託を買付けるものです。

分配金再投資した分は非課税枠を利用したとカウントされてしまいます。
<毎月分配型の投資信託で分配金1万円を再投資したイメージ>

1年目の分配金はその年の非課税枠で、2年目以降は各年の非課税枠が使われます。年を跨いで分配金を再投資した場合は、翌年の非課税枠を利用します。
例えば、すでにNISAの上限額(120万円)まで投資をしている場合、非課税投資枠内で分配金を再投資することができません。
非課税投資枠を消費してしまう可能性のある「毎月分配型」の投資信託はNISAには向かないといえます。
分配金再投資方法は証券会社によって違う
分配金の再投資方法は証券会社によっても違います。
- NISA口座内で再投資可能:楽天証券、SBI証券など
- NISA口座以外で再投資をする:SMBC日興証券、野村證券など
- 再投資できない:三菱UFJモルガンスタンレー証券など
1は分配金がNISAの限度額(120万円)を超える場合は、課税口座で再投資されます。
2や3のような再投資方法ではNISAの非課税メリットを受けられないことになります。
自分が利用しているの金融機関がどのようになっているかわからないという方は1度確認してみましょう。
また、1年単位でNISA口座の金融機関を変更することも可能になりました。必要な方は金融機関を変更することを検討してもいいでしょう。
ロールオーバーは翌年の非課税枠を使う
5年の非課税期間終了時にロールオーバーを選択した場合は、翌年の非課税投資枠を使用します。
ロールオーバーとは、非課税期間が終了した際に保有している商品を翌年の非課税投資枠に移すことをいいます。
なお、ロールオーバー可能な金額に上限はなく、時価が120万円を超過している場合も、そのすべてを翌年の非課税投資枠に移すことができます。

上記の図を使って説明します。
平成26年にNISA口座で100万円分の投資信託を購入した方は、非課税期間は平成30年の12月末までとなります。
その間に
- 売却をするか
- 課税口座に移すか
- 翌年の非課税枠ロールオーバーするか
を選択しなければなりません。
ロールオーバーを選択した場合、平成31年の非課税枠を使って投資信託を新規購入したとみなされます。なお、購入価格はその時の時価で計算します。
購入価格の計算方法
時価が120万円だった場合
例えば、ロールオーバーを選択する際に、保有している投資信託の時価が120万円だった場合は平成31年の非課税枠を使い切ることになります。
その年に、NISA口座で新規に商品を購入することはできません。
時価が50万円に値下がりしている場合
非課税枠120万円分のうち50万円分を使うことになります。その年は残り70万円分であれば、NISA口座で新規に商品の購入ができます。
まとめ
NISAの非課税投資枠のポイントや注意点、買い方別のメリット・デメリットについて解説してきました。資産運用をする上で、「利益が非課税になる」という強みがお分かりいただけたでしょうか。
一括投資やロールオーバーなどのポイントを押さえて非課税の範囲内で上手に資産運用していきましょう。
初心者の方には難しい商品選びやどのくらい投資に回してよいかの相談はファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。

NISA制度を賢く運用する方法を個々の事例に合わせてアドバイスさせていただきます!!