ジュニアNISAのメリット・デメリット|FPが勧める3つの理由

ジュニアNISAのメリット・デメリット|FPが勧める3つの理由

「ジュニアNISAを勧められた」
「ジュニアNISAに興味がある」

銀行や証券会社のジュニアNISAの案内をみてもいいことばかりしか書いていない。
なにかデメリットはないのだろうか・・・

何かを始める時って、デメリットが気になりますよね。
この記事ではジュニアNISAを始める前に知っておくべきデメリットを解説します。

しかしデメリットと言っても実は考え方によってはデメリットではなくなります。
そのあたりも説明しています。

デメリットとメリットを知ったうえでジュニアNISAを始めてみませんか。

※この記事は、ジュニアNISA終了による制度改正に伴い再編集しています(2020年8月)

目次

ジュニアNISAのデメリット

まずはジュニアNISAとは何でしょうか・・一言でいうと・・・

0~19歳の子ども名義で口座を開設し、親権者が代理で株や投資資信託などで運用し、運用で得た利益に対して税金がかからないという制度です。

利益に対して非課税で運用ができるジュニアNISAですが、果たしてデメリットはないのでしょうか。
気になりますよね。
以下解説していきましょう。

デメリット①:ジュニアNISA口座は原則18歳になるまでは払い出しができない ※ルールが変わります

ジュニアNISAは“3月31日時点で18歳である年の前年12月31日までの間は原則として払い出しができません”
つまり高校3年の12月31日までは払い出しができないということです。※2023年末までのルールとなります

☞中学受験や高校受験、塾代をジュニアNISAであてることはできません。

☞大学受験でも、AO入試や推薦入試は一般入試より時期が早く、高校3年の秋~冬にかけ学費を納入します。

上記分のために別で用立てしておく必要があります。

ー2020年8月追記ー
ジュニアNISAは、2023年12月31日の終了に伴い、2024年4月1日より払い出し制限が解除されます。

このことにより、お子さんが2024年1月1日時点で18歳未満だとしても、ジュニアNISAで運用していたお金を払い出すことができます。(非課税)

上記で消した部分は、今までできませんでしたが、2024年からは、中学・高校の学費や塾代などの準備にジュニアNISAを利用できます。

※ジュニアNISAは2023年3月31日までで制度が終了してしまします。まだ始めていない方はできる限り早く始めることをおすすめします。

<なぜ払出制限があるの?>

・ジュニアNISAの本来の目的が、中長期にわたる投資のため。
子どもの将来に向けた資産形成を主な目的としているからです。
途中で使わないようにということなんですね。
 払い出しがいつでもできたら中長期投資の意味がなくなるからです。

※以下の図は2023年3月31日までのルールとなります。

(※1)
①2023年末までに、どうしても途中で払い出しをしたい場合は途中でも払出ができます。しかし、過去の利益に対して課税され、ジュニアNISA口座を廃止することになります。

※災害等やむを得ない事由による場合には例外的に非課税での払い出しが可能です。
その際も口座は廃止することになります。

②海外赴任などで非居住者となった場合(住所を海外へ移す)は金融機関へ「出国移管依頼書」の手続きをします。
すると課税ジュニアNISA口座の「預かり金勘定」へ移管されます。
この「預かり金勘定」へ移管すれば税金はかかりません。しかし運用もできません。

帰国後、金融機関へ「帰国をした旨の届出書」を提出すれば再開できます。(購入可能期間の2023年まで)「預かり金勘定」へ移管したものはジュニアNISA口座へも戻すことはできません。
→払い出し可能になったら引き出せます。

デメリット②:元本保証ではない

ジュニアNISAは元本保証ではありません。株価の変動によって利益が出る時もあれば、減るときもあります。

運用で損益がでても一喜一憂せず、長期運用をしていきましょう。sっっっd

 元本保証ではないけれど……長期運用でリスクを減らせる!

・ジュニアNISAは長期投資が基本ですから、長期で運用すればマイナスが軽減されます。(4章参照)
・ジュニアNISAで投資・運用した方が運用次第ではお金が増えるということです。
逆にメリットととらえてもいいでしょう。

※預貯金は元本保証ですが低金利(※2)ですからお金は増えません。

※2 低金利の現在
通常貯金 金利 → 0.001%(2020年8月現在)
出典:ゆうちょ銀行HP

デメリット③:金融機関の変更ができない

ジュニアNISAは、一旦開設したら別の金融機関へ変更することはできません。(口座の開設は、すべての金融機関を通じて1人1口座のみ)

口座開設時は、金融機関の購入手数料や、投資信託の取り扱い本数などを考え慎重に選ぶことをお勧めします。

<失敗例>
・取引している金融機関で勧められて開設したが手数料が高かった
・外国株を買いたかったが取り扱いがなかった
・購入したい投資信託の取り扱いがなかった

■別の金融機関にどうしてもしたい場合はどうしたらいい?

→いったん口座を閉鎖して再開設するしかありません。ただし、閉鎖した時点で、過去の利益すべてに課税が発生します。

デメリット④:損益通算ができない

ジュニアNISA口座で損失が発生しても、他の特定口座や一般口座内の利益と損益通算(※3)することはできません。
(一般のNISAと同じです)

(※3)損益通算とは、「利益が出ている口座」と「損失が出ている口座」の利益と損失を相殺し、節税することをいいます。

例えば、A口座で5万円の利益、B口座で3万円の損失が出ている場合、差し引きで2万円(=5万円−3万円しか税金を支払わなくていいことになります。

 <なぜ損益通算ができないの>

そもそもジュニアNISAは非課税口座ですので利益をださなければ意味がないのです。
ジュニアNISAはマイナスを想定していません。ですので損益通算ができないのです。
どんどん利益をあげましょう。

デメリット⑤:分配金に課税される場合がある

ジュニアNISA口座で購入した上場株式の配当金や、投資信託等の分配金を非課税とするためには、金融機関の「株式数比例配分方式」を選択する必要があります。

「株式数比例配分方式」とは、配当金や分配金を金融機関の取引口座(例:MRF口座)に入金してもらう方法です。

ジュニアNISAでは、この株式数比例配分方式を選択しておかないと、配当金や分配金が非課税にならないので注意しましょう。

なお株式数、比例配分方式を選択してしまうと複数の証券会社で株などを保有している場合には、全ての株に株式数比例配分方式が適用されます。
(一般のNISAと同じです)

 <「株式数比例配分方式」の選択は難しくない>

ジュニアNISA口座申込時に金融機関の一般口座も開設しますが(新規の場合)「株式数比例配分方式」にチェックをすればいいだけです。難しいことはありません。

デメリット⑥:手続きが面倒

ジュニアNISAは子どもがお金を出したり運用はできませんね。
運用管理者は親権者となります。

そのため一般のNISAとくらべて、提出書類が多くなります。

金融機関によって違いますが、子供と親二人分のそれぞれの印鑑が必要だったり、購入するときも、こどもの名前と運用管理者の名前を書いて毎回注文書を提出というところもあります。

 <手続きが面倒なのは当たり前>

運用も管理も親権者が行います。こどもとの関係を証明するものを要求されるのも仕方ないことですね。
税金が関係していますから手続きが面倒なのも仕方ありません

ジュニアNISAのメリット

メリット①:配当金や分配金などが非課税

ジュニアNISAは上場株式の売却益や配当金・投資信託の売却益や分配金などに対して税金がかかりません。

★通常は、売却して得た利益や、配当金・分配金に対し、約20%の税金がかかります。

★ジュニアNISAは、毎年80万の範囲内で購入し得られる利益が非課税になります

仮に同じ金融商品を同じように運用したら、一方は税金がかかり、ジュニアNISA内で運用したら税金はかからないということですね。

メリット②:利用可能額は年間80万5年間で最大400万、非課税で運用できるのは最大20年

毎年80万まで非課税枠として購入できます。
非課税期間は投資をした年から最大5年間です。

ということは最大400万円購入できて非課税で運用ができ、メリットと言えます。

ジュニアNISAで投資できる期間は2016年~2023年までです(8年間)

投資できるのは5年(5回)ですがその後「継続管理勘定」(※4)で非課税で運用ができます。

※4 継続管理勘定
ジュニアNISA制度が終了する2023年以降非課税期間が終了する場合に、口座開設者本人が20歳になるまで金融商品を保有するための非課税の勘定のことです。この勘定では新規の投資を行うことができません。

この継続管理勘定では20歳まで非課税で運用し続けることができます。
これは、ジュニアNISAならではのメリットといえます。

非課税でできる期間は短いよりは長いほうが得ですね。
ということは、ジュニアNISAは1歳でも早く始めた方がいいですね。

※以下の図の『払い出し制限』は、2024年4月1日より解除され、年齢に関わらず払い出しができるようになります。

【出典】金融庁 HP

メリット③:ロールオーバー上限額の撤廃により非課税で運用できる金額が増えた

ジュニアNISAは5年の投資期間終了後は20歳まで「継続管理勘定」で運用ができることを説明しました。
この「継続管理官勘定」へ移管することを「ロールオーバー」(※5)といいます。

2017年までの制度では、このロールオーバができる金額に上限があり、ジュニアNISAの場合80万までしかロールオーバーができませんでした。
つまり80万を超えた分は課税されるしくみでした。

しかし改正によりこの上限が撤廃されロールオーバーの可能な金額に上限がなくなりました。

時価が80万円を超過している場合も、そのすべてを翌年の非課税投資枠に移すことができるようになりました。

非課税で運用できる金額が増えたのです。 

この改正は、特に長期で運用するジュニアNISAにとっては非課税の恩恵を大いに受けることができ、メリット大といえます。

※5 ロールオーバー
5年の投資期間が終了したら“もう非課税で運用できない”ではなく「継続管理勘定」という場所へ移管することができます。
この移管することをロールオーバーといいます。
ロールオーバーをすることで、20歳まで非課税で運用できます。ロールオーバーをしないと課税されます。ロールオーバーをすればその課税分も多く運用ができるということです。
<その他> ジュニアNISAは相続対策になる

お金を拠出(出す)する人は、親でなければいけないという事はなく、祖父母でもお金を出すことができます。

祖父母などからお金を譲り受けたら「贈与」となり贈与税がかかりますが「年間110万まで」は非課税です。

ジュニアNISAは年間80万ですので基本的に贈与税はかからないということになります

祖父母に資産があって相続税がかかりそうな場合は、この生前贈与をつかって現預金を減らすことで相続税の節税対策にもなります。

生前の間から贈与をしておけば(ジュニアNISAの場合は孫へ贈与)最終的な総資産額を減らせますので節税対策として有効です。

かわいい孫のために、年間80万をだしてあげて、教育費に使ってもいいし、20歳まで非課税で運用ができますから結婚資金や社会人になるための準備にしてあげてもいいですね。

FPがジュニアNISAをすすめる3つの理由

大学費用は私立大学4年間で400万~500万(医学部除く)

ジュニアNISAは大学の教育費を貯めるためにとても有効と言えます

以下は金融庁のHPの引用です。
“ジュニアNISAには18歳まで払出し制限があります。この払出し制限が18歳で解除されることとなっているのは、一般的に子どもが進学・就職等を迎える時期を想定しているためです。”(※2023年末までのルール)

子育てをして行くうえで一番お金がかかるのは大学の入学時とその後の3年間(4年生大学の場合)です。

大学4年間学費はどのくらいかかるかまとめてみました。
下記の表は平成26年度 国公立・私立大学の4年間の学費です。( )は大学2年生以降の学費です。

【出典】文部科学省 国公立大学の授業料の推移
平成26年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額の調査結果について

私立では4年間総額で約400万~500万の費用がかかります。(医学部除く)

ジュニアNISAは80万×5=400万を運用できますね。

これだけでも400万円を確保できますが、
仮に運用が5%(複利)であった場合、18年間で753万になります。

大学4年間の費用に十分あてられますね。
なので、ジュニアNISAが大学の学費準備にあっているのです。

低金利でお金が増えないから

1974年の普通預金金利は3%、郵便局の定額貯金の金利はさらに高く8%もありましたから、銀行や郵便局に預けておけばどんどん増えていきました。

現在はどうでしょう。低金利の昨今、銀行や郵便局にお金を入れても貯まりはしますがお金は大きくは増えませんね。

一方、ジュニアNISAは、株式や投資信託等で運用します。運用次第では多くのリターンがえられます。

預貯金のように元本保証ではありませんが、ジュニアNISAは長期で運用ができますから収益を得るチャンスが増えることになります。

下記のグラフは80万を18年間、ジュニアNISAで運用した場合と、普通預金に置いておいた場合の比較です。
倍の開きがありますね!

ジュニアNISAで運用することでインフレに対応することも可能だから

子供が生まれたばかりだとしたら、大学入学まで18年あります。
18年の期間があればインフレ(※6)も考えなければいけません。

学費は値上がりするかもしれません。貯めたお金が増えていかなければ、インフレに対応できません。

※6 インフレ
インフレーションの略で、物の値段が上がり、お金の価値が下がることをいいます。

☞ジュニアNISAは株式や投資信託で運用をします。
株式中心の投資信託(ファンド)で運用すると企業に投資することになりますね。

企業の収益はインフレになることによって基本的に上昇するので、株式や株式中心のファンドであればインフレに強い投資商品といえます。

ジュニアNISAはインフレに対応した制度とも言えます。

ジュニアNISAの始め方と運用方法

ジュニアNISA口座の開設方法

ジュニアNISAを始めるにはどうすればいいのでしょう。

簡単ですが流れを案内しましょう。

①まずは証券会社(ネット証券含む)や銀行・郵便局など、ジュニアNISAを扱っている金融機関へ問い合わせて口座開設の書類を入手します。(ネット証券などは送られてきます)

②マイナンバーなど必要書類とともに、口座開設の書類を金融機関へ提出します。

③ジュニアNISA口座開設が完了し、ジュニアNISAスタート

ジュニアNISAの運用方法

ジュニアNISAの口座開設が完了したらいよいよ何で運用するか考えなければいけません。

大切なことは、ジュニアNISAを始める年齢によって、すなわち運用できる期間で買い方が違ってくるということです。

例えば、0歳からジュニアNISAを始めれば長期で運用ができますから長期でのやり方を。
例えば、12歳からジュニアNISAをはじめれば、18歳までは6年ですから短期でのやり方となります。

では投資信託で運用する場合について説明しましょう。

♦一般的に投資期間が長い(10年以上)場合は
☞リスクをとって、リターンを取りに行きます
投資期間が長いほど、海外株式ファンドや、国内株式ファンドで積極的に増やしていきます。

長期で運用ができればある程度リスクをとっても長期で見るとリスク(マイナス)が軽減されるからです。

◆投資期間が短い(10年以下)場合は
☞リスクを落として、安定的なリターンを取りに行きます。
投資期間が短いので上記の長期とは違い、安定的な外国債券国内債券が中心になります。

下記は投資対象別のリスクとリターンを表したものです。

<投資対象別 リスク・リターンイメージ>

上記を踏まえて期間別で考えると
・ 10~20年 積極運用
・ 5年~10年 バランス運用
・ 3年~5年 安定運用
となります。

以下の記事では、投資信託の選び方を記載しています。

投資信託の選び方徹底解説!現役FPが実際に行う手順を隠さずに公開!

まとめ

ジュニアNISAのデメリットとメリットを解説してきました。

デメリットもそれなりに理由があることがおわかりになったのではないでしょうか。
デメリットは逆にメリットにもなりえます。

この記事で解説したデメリット・メリットを理解して、かわいいお子さんの成長のために、ジュニアNISAを始めてみてはいかがでしょうか。

ジュニアNISA3つのメリット!今始めるべき理由と詳しい始め方

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POINT1

お金に関する相談ならなんでもOK!
お家でも、店頭でも◎

相談内容はお金に関することならどんな内容でもOK!相談はオンラインでも来店でも可能です。相談内容に合わせて適切なファイナンシャルプランナーを紹介いたします。

POINT2

お休みなどご都合に合わせて
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お急ぎの方は最短即日のご相談予約も可能!1回の相談で相談しきれないお悩みは“何度でも”無料で相談できるので、初めての方でも、お悩みがたくさんある方でも安心です。

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