養子と里親の違いは家族関係が一生続くかどうか。子どもを迎える為の必要知識
『養子』と『里親』の違いはなんでしょうか?結婚して子どもを望んでいたけどなかなか授からず、子どもを迎えたいと思っています。
2つの大きな違いは、子どもと養親の家族としての関係が「一生続く」か「一定期間」かということです。
この記事で分かること!
- 養子縁組と里親の違い
- 養子縁組と里親の制度の違い
- あっせん費用の違い
- 国からの経済的支援の違い
特別養子縁組と里親の違いは、子どもと養親家族関係がいつまで続くか
特別養子縁組と里親制度の大きな違いは、子どもと養親の家族関係が一生続くかどうかです。
特別養子縁組は関係が一生続きますが、里親は制度上一時的な関係となります。
子どもの視点からすると、家族関係がずっと続くのかどうかは大きなポイントとなります。
参考・養子縁組と里親の種類
特別養子縁組は一生続く家族関係
特別養子縁組は一生続く家族関係となります。
戸籍が育ての親に移り変わり「長男」「長女」などのように、実子と同じように記されます。
親権も当然、生みの親から育ての親にかわります。
これにより、子どもと親との関係は一生続く家族関係となります。
里親は一定期間の家族関係
里親は、数日や数週間、または数年、十数年の、一定期間の家族関係になります。
里親制度は様々な事情により、生みの親と離れて施設で暮らす子どもを親に代わって一定期間家庭に迎え、養育します。
原則、子どもが18歳の成人になったら里親制度終了となります。
子どもは状況に応じて生みの親の元に戻ることもあり、時には施設に戻ることもあります。そのため、里親と関係が続けられるとは限りません。
里親家庭にいる期間も、戸籍の変更はなく、生みの親が親権を持ち続けます。
子どものなかには心身に傷をおっているケースもあるので、家族関係をどのように形成していくかは子どもの今後の人生において重要です。
養子縁組と里親の制度の違い
特別養子縁組は法的な親子関係を結んで実の子どもとして育てる制度で、里親は行政から委託されて子どもを生みの親の代わりに育てる制度で、それぞれ民法によって定められています。
ここでは、以下の4つの違いを解説します。
- 条件
- 手続き
- あっせん元
- あっせん費用
養子・里親になるための条件の違い
特別養子縁組・里親、それぞれ育ての親になるための条件に違いがあります。
特別養子縁組の方が、一生の関係となるため条件が厳しくなります。
具体的には、結婚して配偶者がいるかどうか、年齢の条件などです。
また、経済・健康・家族の状況なども要件として含まれ、総合的に審査をされます。
特別養子縁組の場合、親と子どもの年齢差は45歳以下が望ましいとされています。乳幼児の子育てには体力・気力が必要だからです。中高生を養育する里親には、自分の子育てを終えた60代の方もいます。
子どもを迎えるまでの手続きの違い
特別養子縁組の方が里親よりも手続きの内容も多く時間もかかります。
一生の家族関係となるため、慎重な対応になっているからです。
具体的には、以下が目安です。
- 養子縁組:1~2年
- 里親:6カ月程度
子どもの委託期間は状況に応じて異なりますが、里親認定は2年に一度の更新手続きの必要があります。
【特別養子縁組】手続き期間に幅がある理由
期間に幅があるのはコロナの影響で研修や面会が制限されたり、また、生みの親御さんの事情や、お子さんの状況などによっても、特別養子縁組成立までの時間はケースごとに異なり、個別性が高いからです。
【特別養子縁組】6ヶ月以上の監護とは(試験養育期間)
子どもの委託が決まると、6か月以上の試験養育期間が定められており、子どもを家庭に迎えて一緒に生活をスタートします。
この期間は、子どもを本当に実の子として育てられるのか?子どもとの相性は大丈夫なのか?子どもにとっても安心して暮らせるのか?を判断します。
その後、家庭裁判所での審判を経て養子縁組の成立となります。
あっせん機関の違い
特別養子縁組のあっせん機関は2つ、里親のあっせん機関は1つだけです。
特別養子縁組のあっせん機関は、児童相談所と民間団体の2つ
特別養子縁組のあっせん機関は、『児童相談所』と行政の認可を受けた『民間のあっせん団体』があります。
児童相談所は全国に229ヶ所あり、住んでいる地域の児童相談所を通して子どもを委託します。
民間団体は現在23団体あり、地域の制限なしに団体を選ぶことができます。
民間あっせん団体には、それぞれの方針の違いや、対応の違いがあります。また、養親に求められる団体ごとの条件の違いもありますので、複数団体にアプローチして検討されることをおすすめします。
里親のあっせん機関は児童相談所だけ
里親を希望する時のあっせん機関は児童相談所のみとなります。
里親は行政からの委託を受けて子どもを家庭に迎える形となるので、児童相談所(住んでいる地域の管轄)が窓口となリます。
最近では里親制度を広める活動や、里親をサポートするための里親向けの民間団体がありますが、子どもを里親に委託出来る機関は、児童相談所のみです。
私自身は里親登録を進めていました。区から里親業務委託をされていた乳児院の方の温かな対応と、地域社会で子どもを育てるという姿勢に共感して、地元に貢献したいことからも児童相談所に通いました。
【里親】手続きの最中の引っ越しには注意
里親の手続きの最中に、児童相談所の管轄を越えて引っ越しをすると、児童相談所の規定に基づいて、手続きが最初からやり直しとなることもあるので注意が必要です。
養子と里親のあっせん費用の違い
特別養子縁組の場合のあっせん費用は、児童相談所だとかかりませんが、民間団体だと費用がかかります。
特別養子縁組の紹介費用
特別養子縁組の場合のあっせん費用は、児童相談所だとかかりませんが、民間団体だと費用がかかります。
児童相談所の場合
児童相談所から子どもを迎える際には基本的に費用はかかりません。行政機関なので、費用は基本的に税金にて賄われています。
※子どもを家に迎えるまでの活動にかかる交通費、認定を受ける際の提出書類の取得費用はご自身の支払いとなります。
民間団体の場合
民間団体から子どもを迎える際には、一般的には150万前後の費用がかかります。
民間団体は厚生労働省からの指示に沿って、費用を設定しています。それでも、団体によって費用の幅があり、数万円程度から200万近くまでの幅があります。
費用の内訳としては大きく分けて2つ。
- 団体への登録の際にかかる申し込み手数料や研修費用
- 子どもの紹介から養子縁組成立までにかかるあっせん費用
里親の紹介費用
基本的に紹介費用はかかりません。児童相談所からの委託になるからです。
ただし、活動にかかる交通費や必要書類の取得の際の費用は実費となります。
子どもを養育するための公的経済支援の違い
子どもを養育するための、国からの経済支援にも違いがあります。
特別養子縁組は一時的、里親は継続的(里親の期間中)です。
特別養子縁組は一時的な経済支援のみ
児童相談所からのあっせんの場合は、監護期間中の子どもの生活費が支払われます。
行政から養育を委託されるかたちとなるからです。
その後、養子援組が成立したら国からの経済支援は終わり、ご自身の家計で賄います。
※ただし、民間団体からのあっせんの場合は、監護期間の生活費は支給されません。
最近東京都ではあっせん費用の上限40万までを補助する制度ができ、特別養子縁組をサポートしています。(東京都福祉保健局:令和3年度 養子縁組民間あっせん機関助成事業)
里親の場合は国から継続的な支援あり
里親の場合は、国から里親手当と養育費用が継続的(里親の期間中)に支払われます。
里親の場合は行政からの委託を受けて、子どもを育てるからです。
養親への里親手当てとして90,000円/月と、その他に子どものための養育費が支払われます。
まとめ
特別養子縁組と里親は、どちらも『子どもが主役』です。
社会的養護が必要な子どもが心身共に健康で健やかに家庭で養育されるための児童福祉です。
子どもにとって何が一番かを考え、そして、次に自分たちの状況や条件に応じて検討頂けたらと思います。
私のチームメンバーには、民間団体で子どもを授かり親子になった家族、また、児童相談所を通して子どもを迎える夫婦がいます。
「もっと詳しいことを知りたい・・・」
「実際に養親になった方の話を聞いてみたい・・・」
など、わからないことや不安なことは、私たちに是非相談してみてください。
相談先:NPO法人ライフバトン